『THE W』優勝オダウエダ 個性強すぎるネタに高評価
2021年12月に女芸人No.1決定戦『THE W 2021』で女王の座に輝いたオダウエダ。優勝賞金1000万円のほか、副賞として日本テレビ系22番組の出演権を獲得したこともあり、2022年は様々なバラエティーをきっかけに躍進を遂げそうだ。

結成は14年。高校3年生の小田と、大阪芸術大学4年で落語研究会出身の植田がNSC(吉本総合芸能学院)大阪校で出会い、コンビを組んだ。「NSCの『相方探しの会』に参加した際、バッファロー吾郎さん、ナインティナインさん、(吉本印)天然素材、ジャルジャルさん、フジテレビのコント番組など、好きなお笑いの話で盛り上がって。趣味が近いと思ったので私から声を掛けました」(小田)
2人が得意とするのはコントで、『THE W』決勝では「ハツのシュウカツ」「ぼんじりのハンケツ」など予測不能なメニューが次々に登場する焼鳥屋を舞台にしたネタと、カニのストーカーになってしまったおじさんのネタの2本を披露。審査員のミルクボーイ・駒場孝が「アホやけど、ディテールが細かかった」とコメントするなど、そのナンセンスぶりが高く評価されての優勝だった。
結成当初、ネタは落研で経験のある植田が書いていたが、「相方にツッコミをやってもらおうと思って台本を渡したら、練習中に『ツッコまれへん!』と泣き出してしまった」(植田)そう。小田によると「出身の愛媛県にはツッコむ文化がなくて、どうしたらいいのか分からなくて」。そこからボケとツッコミという役割分担をやめ、「小田は好きなことをやると感情が乗るので、小田が考えた原案を基に2人で話しながら膨らませて」(植田)、ネタを作るようになったという。カニのネタも、「もともと私がストーカーになりたいくらいカニが好きだったから」(小田)と、「好き」をベースに作ったそうだ。
大きな転機となったのは『THE W』の前回大会(20年)。「初めて決勝に出て、自分たちに足りないのは分かりやすさだな、と反省しました」(小田)。植田も、「自分たちが表現したいことと、分かりやすさの両立を、どれだけ調整できるか。好きなことをやりながら、かつ、見てくれる人にも伝わっている点で、空気階段さんやマヂカルラブリーさん、トム・ブラウンさんたちはやっぱりすごい。私たちも、お客さんに"好きになってもらえる"努力をし続けたいです」と語る。

今回の『THE W』では、個性が強すぎるネタに対してネットを中心に賛否があった。そのことについて小田は「反対の意見があるということは、伝わっていなかったということなので、これからのネタ作りに生かしていきたい」と前向きだ。
刺激を受けた芸人については、「元Bコースの歩子(ぽこ)さん。あの境地にまで到達したい」(小田)、「吉本興業の先輩では、金属バットさん、ニッポンの社長さん、オズワルドさんといった、三浦マイルドさんが集めたマイルド軍団の人たち。自分の好きなものをどれだけやれるかという戦い方をしていて、めちゃくちゃ勉強になってます。フリーの先輩では、虹の黄昏さん。『バカをやるんやったらここまでやらないといけない』という、ライブシーンでの命の燃やし方に影響を受けました」(植田)
将来なりたい芸人像は「『キングオブコント』で優勝した後も、ライブを大切にしているバッファロー吾郎さんが憧れ」(植田)、「田舎育ちでテレビを見て元気になったことが何回もあったので、劇場に来られない方にも楽しんでもらえるような存在になりたい」(小田)と2人。これから増えそうなテレビ出演に関しては「トークは植田が引っ張ってくれると思いますが、自分も頑張ります」(小田)、「私は緊張するタイプなので芸歴1年目みたいな心境ですが、やるしかない」(植田)と、まだまだ手探りの様子。ネタで浮上した2人がどんな方面で活躍を見せてくれるのか、今後の動向に注目だ。
小田結希(左)1995年6月26日生まれ、愛媛県出身。植田紫帆(右)1991年7月1日生まれ、大阪府出身。趣味は2人ともマンガを読むこと。好きなギャグマンガを聞くと、『ボボボーボ・ボーボボ』『ピューと吹く!ジャガー』『ギャグマンガ日和』『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』など、作品の列挙が止まらなくなった。吉本興業所属。
(ライター 遠藤敏文)
[日経エンタテインメント! 2022年3月号の記事を再構成]
関連リンク
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。