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実験ノート電子化、AIで分析しやすく 早稲田大学

早稲田大学の研究チームは材料開発などの実験データを人工知能(AI)にとって分析しやすい形で電子化するシステムを開発した。このシステムを使って、次世代の蓄電池といわれる全固体電池の電解質の有用な製法を見いだした。研究の効率化につながるほか、実験データを公開しやすくなり研究の再現性や透明性を高められる。

物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究の成果。システムでは通常は手書きの実験ノートを電子化する。試薬の量、加熱といった実験手順のほか、実験時の気温、実験装置内の湿度などを入力すると、画面上にフローチャートが現れる。グラフ構造と呼ばれるデータ形式で、AIにとっては文章や画像よりも処理しやすい。

AIによる分析過程の見える化も試みた。深層学習などの一般的なAI分析では結果のみが示されて、分析過程が分かりにくいとされるためだ。実験操作の一つ一つの有無を「1」「0」で表記して分析にかけ、実験がうまくいく条件を見つけやすくした。

効果を検証するため、全固体電池の素材として有望な高分子固体電解質の開発に利用してみた。電解質は電極と電極の間にある素材で、電気の通しやすさが重要になる。固体電解質は安全性などに優れるが、液体に比べて電気が通りにくい課題がある。

3種類の材料を混ぜ、加熱などをして高分子固体電解質を作る実験を約1年にわたり500回以上試みた。1~2週間に一度AIで分析し、よりよい条件を見つける作業を進めたところ、電気の通しやすさが液体に近い電解質を作る条件や仕組みを見いだせた。

実験データはインターネット上に公開して、誰でも分析できるようにした。これまでは多くの場合、研究の成果や実験プロセスの公表は学術論文に示す一部のデータに限られていた。実験の詳細を電子化して公開すれば、「世界中の研究者が分析に使ったり再現実験したりできるほか、より性能の高いAIが開発されたときに再び分析できる」(早大の畠山歓講師)という。

開発したシステムは実験研究のDX(デジタルトランスフォーメーション)や研究を広く共有するオープンサイエンスの促進につながる。今後、実験条件のデータを自動でコンピューターに入力できる仕組みなどより使いやすい技術にしていく。

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