4月外食売上高、14カ月ぶりプラス コロナ前には届かず

日本フードサービス協会(東京・港)が25日発表した2021年4月の外食売上高(全店ベース)は前年同月比37%増え、14カ月ぶりのプラスとなった。1度目の緊急事態宣言下で臨時休業が相次いでいた前年からの回復が鮮明になった。一方で新型コロナウイルス感染拡大前の19年4月比では20%減っており回復は途上だ。

全体の客単価が2%増にとどまる中、客数が34%増えたことが大きい。業態別に見ると、最も伸びたのが夕方以降の営業が主体の「パブレストラン・居酒屋」で前年同月の3倍に回復した。店内飲食が中心の「ファミリーレストラン」も75%増だった。昨年4月の緊急事態宣言下では多くの飲食店が臨時休業や持ち帰りのみの営業だった。足元でも一部地域で、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発令されているが、休業する店舗は限定的で人出も回復している。
持ち帰りや宅配需要を取り込む「ファストフード」は18%増と伸び率は小さかった。昨年4月に全体が4割減と落ち込む中でも巣ごもり需要を取り込み売上高水準が比較的高かったためだ。
5月14日までに決算を発表した上場外食40社の21年3月期の合計売上高は前の期比18%減の1兆8662億円、最終損益は871億円の赤字(前の期は35億円の黒字)だった。ワクチンの普及などで一定の外食需要の回復を見込み、22年3月期は多くの企業が最終黒字に転換する見通しだ。実際、今のところ今期の滑り出しは順調だ。
だが足元では緊急事態宣言の対象地域が拡大している。各業態をみると、ファミレスはコロナ前比で3割減、パブレストラン・居酒屋は約7割減だ。好調なファストフードでも1%減収と厳しい。各社は引き続きコスト削減や資金確保など財務基盤の強化に加え、巣ごもり需要を取り込むべく宅配を強化するなどの対策を強めている。
関連企業・業界
関連キーワード