IIJ、複数回線に接続のSIM開発 1枚で障害時の通信確保

インターネットイニシアティブ(IIJ)は25日、複数の携帯電話網に接続できるSIMカードを開発したと発表した。通信障害時でも予備の通信回線に接続ができる。決済端末やコネクテッドカー(つながる車)などあらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器向けに提供していく。
開発した「マルチプロファイルSIM」は、1枚のSIMカードにIIJのほか、別の通信事業者のプロファイル(携帯電話網に接続するための情報)を搭載する。サーバーと通信ができない状況を検知した端末がプロファイルを切り替えることで、別の通信網に接続できる。複数のSIMカードが挿入できる通信端末に変更しなくても、既存の端末で予備回線を用意できる利点がある。
1枚のSIMで複数の携帯電話網に接続可能な方法では、他社の通信網に切り替える「ローミング(相互乗り入れ)」がある。ただローミングでは通信事業者が加入者情報を管理するデータベースなどに障害が起きた場合に、接続を切り替えることができない。今回のマルチプロファイルSIMはそれぞれのプロファイルの加入者データベースが独立しており、大規模な通信障害時でも通信の切り替えが可能になる。
KDDIが7月に起こした大規模な通信障害では、KDDIの加入者データベースにアクセスが集中する輻輳(ふくそう)と呼ばれる状況も障害が長期化した原因となっていた。障害発生時間は61時間半に及び、個人の携帯利用者のほか、コネクテッドカーやATM、スマートメーターなど様々なIoT機器でサービスが利用しづらくなる影響が出た。