米メルク、コロナ予防薬年内にも承認申請 飲み薬転用
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米製薬大手メルク日本法人のMSDは25日、新型コロナウイルス治療に使う飲み薬「ラゲブリオ(一般名モルヌピラビル)」について、2022年中にも濃厚接触者に投与する発症予防薬として厚生労働省に承認申請をめざすと明らかにした。感染者と同居する家族などに投与する臨床試験(治験)を進めている。実用化できれば医療現場の負担軽減につながる。
ラゲブリオは軽症と中等症患者向けのコロナ治療薬として21年12月に国内で承認を取得した。感染者と同居する、18歳以上を対象とした最終段階の国際共同治験を進めており、日本も参加している。国内では既に中外製薬の抗体カクテル療法「ロナプリーブ」がコロナの発症予防薬として認められているが、変異型「オミクロン型」に対して効果が低下している懸念がある。
MSDはラゲブリオについて、日本政府と160万人分の供給で合意している。19日時点で全国の薬局など医療機関に約4万100人分が配送された。
MSDのカイル・タトル社長は25日に開いた説明会で、9月までに全量を供給する意向を示した。白沢博満上級副社長は従来示されている供給計画は最低限のものだとして、「それ以上に何ができるか、国と調整している」とも述べた。
オミクロン型の感染拡大を受けて、自宅療養でも服用しやすい飲み薬の重要性が高まっている。米ファイザーもこのほど、飲み薬「パクスロビド」について厚生労働省に製造販売承認を申請済み。国内勢では塩野義製薬が最終段階の治験を進めている。