次世代ネット「Web3」で注目、ブロックチェーン3分野 - 日本経済新聞
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次世代ネット「Web3」で注目、ブロックチェーン3分野

ブロックチェーン(分散型台帳)の技術を使い、新しいインターネットを目指す「Web3(ウェブ3)」が注目を集めている。金融市場では過熱感が出ているものの、米巨大IT(情報技術)を中心とするデータ寡占から、脱中央集権型のシステムを目指す動きとしても期待されている。中でも有望な分散型金融(DeFi)、非代替性トークン(NFT)、ゲーム・仮想空間の3つの市場について解説する。

「ウェブ3」はベンチャーキャピタル(VC)の最新のバズワード(流行語)の一つだ。だが、正確には何なのだろうか。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

ウェブ3とは、取引参加への許可が要らないオープンなブロックチェーンネットワークの上に築かれた分散型インターネットだ。

これはベンチャー投資家がつくりだしたマーケティング用語にすぎないとの指摘もあるが、創造的破壊をもたらす可能性を秘めた多くの用途により注目を集めている。

この記事では、利用が急拡大しつつあるウェブ3の3つの用途について取り上げる。

・分散型金融(DeFi)

・非代替性トークン(NFT)

・ゲーム&仮想世界

1、分散型金融(DeFi)

DeFiは銀行や信用組合、証券会社のような従来の仲介者を使わずに、利用者同士が直接金融サービスを提供したり、利用したりできるスマートコントラクト(自動で契約が履行されるブロックチェーンの仕組み)のエコシステム(生態系)だ。

DeFiの商品には融資や借り入れ、分散型取引所での暗号資産(仮想通貨)の取引、資産管理、決済、保険などがある。ディーファイラマによると、全てのDeFiプロトコルに預けられている(ロックされている)米ドル資産の総額「TVL」は、2021年の1年間で1000%以上増えた。

VC各社はDeFiの需要が急増していることを察知し、すぐに行動を起こした。21年の世界のDeFiスタートアップによる未上場市場での資金調達額は34億ドルと、前年比10倍近く増えた。調達件数は240件に上った。

・米サークル(Circle):企業価値90億ドル。特別買収目的会社(SPAC)を活用して上場する予定。同社が発行する米ドルに連動したステーブルコイン「USDC」は、DeFiのエコシステムに欠かせない存在だ。

ファイアブロックス(Fireblocks):企業価値80億ドル。機関投資家向けのカストディー(資産管理)技術などDeFiサービスを提供する。

コンセンシス(ConsenSys):企業価値32億ドル。DeFiウォレット(電子財布)「メタマスク(MetaMask)」を開発した。

2、非代替性トークン(NFT)

NFTとはブロックチェーン技術を使って証明したデジタル資産を指す。画像や楽曲、動画など多岐にわたる。

NFTの需要は21年後半に一気に増えた。分散型アプリ「ダップス」ストアのダップレーダーによると、21年7~9月期だけでNFTの売上高は107億ドルに達した。NFTを扱うマーケットプレースやインフラプロバイダー、ブロックチェーンゲーム会社による21年の調達額は軒並み大きく増えた。

21年のNFTスタートアップの調達総額は48億ドルに達し、前年の3700万ドルから大幅に増えた。調達件数も21件から259件に急増した。

このトレンドは22年に入っても続いている。22年1~2月のNFTスタートアップの調達総額はすでに20年以前の各年の調達額を上回っている。

1月にサービスを開始した英ルックスレア(LooksRare)などNFTマーケットプレースが増えているため、NFT取引額は22年も増え続けるだろう。さらに、米フェイスブックや米ツイッターなどの主要SNS(交流サイト)、米動画投稿サイト「ユーチューブ」などもNFTを扱う方針を明らかにしており、普及に道を開く可能性がある。

3、ゲーム&仮想世界

フェイスブックが21年10月に社名をメタに変更して以来、ゲームや仮想世界、メタバースは大きな注目を集めている。メタのメタバースはウェブ3ではない(中央集権型であり、ブロックチェーン上に構築されていないため)が、分散型ゲームはウェブ3だ。分散型ゲームにはトークンを活用したゲーム経済圏や、ブロックチェーン技術を使った仮想世界などがある。大半の分散型ゲームは一部でNFTを扱っている。

現時点で企業価値が10億ドルに達しているウェブ3のスタートアップは少なくとも20社に上る。下の表にはウェブ3の定義に当てはまる主要プレーヤーが含まれている。

この表のウェブ3のユニコーン20社のうち、NFTまたはゲームを手がける企業は10社に上る。企業価値が最も高いのはNFTマーケットプレースの米オープンシー(OpenSea)で、企業価値は133億ドルに上る。分散化のおかげで、利用者はオープンシーで他のアプリのゲームアイテムや仮想の土地を売買できる。

2位はカナダのダッパー・ラボ(Dapper Labs、企業価値76億ドル)だ。同社はブロックチェーンゲーム「クリプトキティーズ(CryptoKitties)」やNFTマーケットプレース「NBAトップショット(NBA Top Shot)」を開発した。3位はNFTゲームや仮想空間「ザ・サンドボックス(The Sandbox)」の開発に加え、投資も手がける香港のアニモカブランズ(Animoca Brands、50億ドル)だった。

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