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ビタミンD摂取、女性や高緯度地域住民で死亡リスク低減

福岡女子大学や国立国際医療研究センターなどの研究グループは日本人のビタミンD摂取量と死亡リスクの関係を性別や居住地域別などで解析した結果を公表した。女性や高緯度地域など日光への露出が少ない人は、ビタミンD摂取量が多い方が死亡リスクが10%程度低くなる傾向が明らかになった。

国立がん研究センターが実施した日本人の男女約9万4千人を追跡したコホート研究のデータを分析した。1990〜93年に秋田県から沖縄県まで全国11カ所に住んでいた40〜69歳のうち、5年後の食事調査に回答し特定の病を患っていなかった人の死亡率を2018年まで追跡した。

性別や居住地域別では、女性や高緯度地域の住民はビタミンDの摂取量が多いと死亡リスクが12〜13%低減していた。福岡女子大の南里明子准教授は「(体内でビタミンDを作る)日光の紫外線に当たる機会が少ない結果、食事からビタミンDを摂取する効果が表れやすい」と話す。

ビタミンDの摂取量に応じて5グループに分けたうえで、死因別の死亡リスクも調べた。脳梗塞ではビタミンD摂取量が少ないグループに比べ、最も多いグループは死亡リスクが38%低減していた。肺炎でも同様に21%の死亡リスク低減が見られた。ただ、死因を分けずにビタミンD摂取量と死亡リスクの関係を分析すると、はっきりした関連は見られなかった。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける効果が知られる。厚生労働省の2020年の食事摂取基準によると、18歳以上の男女の1日当たりのビタミンD摂取推奨量は8.5マイクロ(マイクロは100万分の1)グラム。一方、実態を示す厚労省の19年の国民健康・栄養調査の摂取量は平均6.9マイクログラム(未成年を含む)と、推奨量を下回る。南里准教授は「女性や高緯度地域の住民は特に積極的に摂取するとよい」と指摘する。

ビタミンDは魚やキノコなどから摂取しやすい。文部科学省の20年版の日本食品標準成分表では、ゆでたキクラゲを100グラム食べると8.8マイクログラム、焼いた養殖の銀ジャケを100グラム食べると21マイクログラムのビタミンDを摂取できる。

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