滝藤賢一 憧れだったロレックス、子供たちに渡したい

ドラマ『半沢直樹』や映画『孤狼の血』など数々の話題作に出演し、名バイプレーヤーとして評価されている滝藤賢一さん。仲代達矢さん主宰の俳優養成所「無名塾」出身の彼が紹介してくれたものは、長年愛用しているというロレックスの腕時計だった。
11万円で買ったデイトジャスト
「このロレックスは無名塾在籍時に先輩から購入しました。僕が上京した96年ごろは、ダウンタウンの浜田雅功さん、木村拓哉さんたちがヴィンテージデニムをはいていて、ものすごくはやっていた。とんでもない値段がついていましたからね。逆にロレックスは今ほど値段が高騰していなかった時代だと思います。
無名塾に入って、4年目くらいの頃だったかなぁ。もう何年も憧れていたロレックスへの欲望が爆発したんですね(笑)。先輩にこのデイトジャストを売ってもらいました。確か、11万円ほどだったかな」

「長年使っていたけれど、子供が生まれたタイミングで、一旦腕時計は外しました。抱っこをすると、子供の太ももに金具が当たって、ケガさせちゃうから。なので、10年間くらいは、タンスの中に眠っていましたね。子供も成長したので、最近復活したんです。
今、子供の生まれた年に作られたロレックスを探しています。僕が死ぬときなのか、子供の成人、はたまた社会人になるときなのかわからないけれど、親から子供に腕時計を受け継いでいけたらすてきじゃないですか? お金かかるー!(笑)」


幼い頃から洋服が好きだった
滝藤さんの「毎日の私服姿」をリアルに撮り下ろした『服と賢一 滝藤賢一の「私服」着こなし218』が発売された。書籍の中では数々のアイテムや着こなし術が紹介されているが、滝藤さんがファッションに目覚めたきっかけとは?
「幼い頃から洋服が好きで、小学生の頃から当たり前のように、お小遣いをもらって自分で買っていましたね。好きになったきっかけは、映画の影響。ジャッキー・チェンが好きで、身につけているキャスケットやサスペンダーを見て、猛烈に『欲しい』という欲求にかき立てられていました。
洋服は好きだったけど、お金がなくて買えない時期もありました。それこそ、上京した頃は、いつも同じ服を着ていましたよ。好き放題、買いまくっているのは、ここ最近です」

「洋服をしまうクローゼットはパンパンです。8畳の部屋は全部埋まっているし、14畳の部屋も半分占拠している。服をかける場所も引き出しもぎゅうぎゅうに詰まっているので、キレイに畳んで、ボストンバッグやスーツケースにも詰め込んでいます。どこに何が入っているか、さっぱりわかりません。探しているものが見つかったときの感動は言葉では言い表せないなぁ。もうね、宝探しですよ」
滝藤さんは普段、どんなところに足を運び、洋服を買っているのだろうか。
「セレクトショップ『NEPENTHES(ネペンテス)』と、東京・高円寺にある古着屋『TRUNK(トランク)』です。僕が洋服を買う上で大切にしているのはショップスタッフさんのプロ意識。いかに接客に徹底しているかですね。忙しい中、時間を見つけて行くので、楽しみたいというのが大前提です。『NEEDLES(ニードルズ)』と古着の合わせ技がここ最近の、僕のトレンドです」

台本を使って真剣に遊んでいく
俳優としてさまざまな映画やドラマに出演する滝藤さん。いずれの作品も強い存在感で見る者を魅了しているが、滝藤さんが仕事をする上で大切にしていることとは?
「撮影に臨む上でとにかく大切にしていることは準備ですね。そして、真剣に遊ぶ。夢中になることだと思います。努力って思うとしんどいですからね。いつか嫌になっちゃう気がしませんか? 若いうちはストイックなのもいいですが、40代も半ばになるので、なんでも楽しんでやりたいです。だから、ここ最近は台本を使って、真剣に遊ぶことを大事にしています。健康ならあと40年は俳優人生を送れるので、いろんなアプローチをしながら、俳優という職業を模索することを楽しみたいです。そして、好きなことをしまくって、人生を豊かにしていきたいです」
新型コロナウイルス禍での楽しみは植物を育てることだという。
「サボテンなど乾燥地帯の植物を育てるのが趣味です。理由は『格好いいから』。オブジェです。植え替えとか水やりをしていると、芝居のことから離れられて、無心になれます。
仕事を頑張ったご褒美は必ず自分にあげます。誰もほめてくれないから(笑)。自分で自分のことをほめてあげないとね。
書籍を作ったご褒美ですか? そうですねぇ。ちょうどママ(奥さん)とおそろいのピンキーリングが欲しいと思っていたんですよ。買うきっかけを探していたので、それにしようかな……。これを口実にデートに誘ってみよ。書籍を作ったご褒美に出版社に買ってもらおうかしら(笑)」


『服と賢一 滝藤賢一の「私服」着こなし218』(主婦と生活社)
滝藤さんの「毎日の私服」を約1年間かけて密着撮影。合計218ポーズが収録された滝藤流「ファッション参考書」。「こだわったのは背景。なるべく泥臭い場所というか……室外機の前でばかり撮っていました(笑)」(滝藤賢一)。発売中
(文 中山洋平、写真 藤本和史)
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