東大やNTT、量子計算機の高度化へ 光制御技術開発

東京大学とNTTなどは次世代の高速計算機、量子コンピューターの高度化の鍵を握る光制御の新技術を開発した。「量子光」と呼ばれる特殊な光の波形を自由自在に操る手法で、日本発の技術として光を使った高性能量子コンピューターに応用し、2030年の実用化をめざす。
量子とは極めて小さな物質やエネルギーの単位のことで、量子関連技術は2022年のノーベル物理学賞に選ばれるなど注目が集まっている。同技術を使った量子コンピューターは世界で競争が激化している。
今回の開発には東大の高瀬寛助教と古沢明教授、NTTのほか、情報通信研究機構と理化学研究所が参加した。一つの塊のようになった「パルス」と呼ばれる状態の量子光の波形を制御する技術で、量子コンピューターの高度な計算に応用できるとみている。22年のノーベル物理学賞の授賞テーマである「量子もつれ」と呼ぶ現象を使った。米科学誌に成果を掲載した。
量子コンピューター開発はこれまで、米グーグルや米IBMが採用する超電導の技術を使って計算する方式が主流だった。日本では光ファイバーで強みを持つNTTが光の技術を応用した半導体を含むネットワーク新事業を育成している。NTTは東大などと光を用いた量子コンピューター実用化に向けた戦略を描いており、今回の手法の開発はその鍵を握る成果になる。