オリンパス、韓国の医療機器メーカー買収 最大483億円で
消化器領域の商品拡充

オリンパスは24日、韓国の消化器処置具メーカー、テウンメディカル社を買収すると発表した。買収額は最大で3億7000万ドル(約483億円)となる。オリンパスはデジタルカメラなど映像事業に続き、祖業の科学事業の売却を決断。今後は主力の医療機器を強化する戦略を打ち出している。買収を通じて、消化器領域の製品群を充実させる狙いがある。
同日付で買収契約を結び、6月末に株式取得を完了する予定だ。オリンパスは買収完了時に2億5550万ドルを支払う。これとは別に製品開発などの進捗に応じて、最大で1億1450万ドルのマイルストーン報酬を支払う可能性がある。
テウンメディカルは、胆管や食道向けに使用するメタリックステント(筒状の金属製の網)を開発・製造している。同社の2021年12月期の売上高は67億9000万円で、営業利益は13億4700万円、純利益は12億6500万円だった。韓国のほか欧州や日本など世界各地に製品を供給している。胆道や食道向けなどの消化器領域を中心に、幅広い商品ラインアップを持つのが特徴だ。

メタリックステントは、胆汁などの流れを良くするための治療で使われている。例えば胆道が結石などにより塞がれ、黄疸(おうだん)などの症状が起きたとする。狭くなった部分にメタリックステントを使うと、胆汁の流れが改善し黄疸をやわらげる効果が見込める。
テウンメディカルの買収により、「がんなどの悪性疾患をはじめ患者により幅広い治療を提供できるようになる」(オリンパス)という。
オリンパスは「メタリックステントは10年後、1000億円規模の市場に成長する」と予想する。また今回の買収にかかる資金は「必要であれば資金調達を実施する」方針だ。
オリンパスはデジタルカメラなどの映像事業に続き、23年3月期は工業用顕微鏡などの科学事業を米ベインキャピタルに売却することを決定している。事業の選択と集中を進めており、医療分野に経営資源を集中させる方針を鮮明にしている。