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芸歴20年「もう中学生」 有吉さんのラジオでスイッチ

NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

段ボールを使った1人コントで知られるもう中学生。2009年~10年ごろに『爆笑レッドカーペット』などで注目されたが、近年は目立った活躍はなかった。

ところが、20年に事態が一転。有吉弘行により、インスタライブを"発見"され、ラジオでたびたび名前を出されるように。さらに、麒麟の川島明が『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、無観客配信ライブでのコールアンドレスポンスのネタを「1番面白かった瞬間」と紹介した。それ以降、様々な番組に呼ばれるようになった。

21年はさらに飛躍。4月に『オトラクション』(TBS系)のナレーターに起用され、11月には4週連続の特番『50秒サバイバルクイズ ナルハヤ』で初MCを経験。10月からは、キー局での初冠番組『もう中学生のおグッズ!』(テレビ朝日)がスタートした。あまりにも自由な進行と際立つ発言のユニークさに、ファンが続出している。

「最初グッズがテーマと聞いたときは、ピンポイントすぎてびっくりしました。『もう中学生の濃いめ』とかのほうが、いろんな転び方ができるじゃないですか。でも今は、『おグッズ!』で良かったと思ってます。街で声を掛けられるときも、みなさん、『おグッズ!』見てます、と固有名詞を出してくださるんですね。芸人さんからは、チョコプラ(チョコレートプラネット)の松尾(駿)君をはじめ、『ワイプゲスト(注1)で行きたい』という逆指名が結構あります」

(注1)毎回ツッコミ芸人がゲストに招かれる。その際、段ボール製の四角い枠を被り、その場にいながら映像を見ているかのようにツッコむ「生ワイプ」という体裁が取られる。写真は、もう中が自ら被った生ワイプ姿。

「僕はほどよく打ち合わせに参加して、ほどよくご意見させていただいている感じ。大人数だと絶対に前に出られないんですけど、この番組では1人で始まって、ツッコミ芸人さんもお招きする立場なので、伸び伸びできて楽しいです。

と言っても、当日までは、来てくださる方にフィットできるかなとか、直前におむすび食べてるときまで不安で。でも現場に入って板付いたときに、勝利が見えるというか。オープニングを『今日はこんな感じでやります』って伝えるときも、カメラマンさんが『いいっすねぇ』って画角決めてくださるのを見て、『今日も大丈夫だ』って。マヂカルラブリーの野田(クリスタル)君は、別の番組のロケバスで一緒になったときに、『もう中さん、あれぶっちゃけ、カロリー高め(注2)ですよね』って。『えっ、分かる?』って(笑)」

(注2)収録の前に毎回ネタを考えるなど、労力と手間がとてもかかるといった意味。

みんなが口コミしたくなる番組に

端々に芸人としてのプロ意識が感じられ、ネタやテレビで見る捉えどころのない感じとは全く違う印象を受ける。なぜ今こんなに飛躍できたのか、ターニングポイントを聞くと話が熱を帯びた。

「14年くらいにネタのストックが切れちゃったんです。それで会社(吉本興業)に頼んで、毎月単独ライブをやり出して。あとは長い間、故郷の長野の情報番組さんでロケをやらせていただいていたのも大きかったですね。ある舞台で何もできなかったことから、『声を出して健康になろう』っていうワンコインで通えるスクールで発声を学んだり、芝居小屋のワークショップにも行きました。自分なりにいろいろと勉強してきたけど、19年には長野の情報番組のレギュラーが卒業になったんです。そのときに、地元に帰れば交通費もかからないし、『リポーターさんだったらできるかな』とか思い始めて。

20年にコロナ禍になって、長野に引っ越す準備をしていたんですけど、有吉さんがラジオで僕の名前を出してくれて。『水曜日のダウンタウン』さんで麒麟の川島さんが無観客ライブを紹介してくれたときは、友達から『丸田君(本名)、テレビに出てるよ』って電話がかかってきて知りました。

その後、有吉さんがラジオに呼んでくださって、キラキラ見守ってくれているブースの中で、今までの人生ではなかったスイッチが入ったんです。この先輩方に、この先の人生どうなってもいいから、ちゃんと東京で頑張ったねって思ってもらえるようにお笑い頑張ろうって……(目に涙が)。

それで、会社に『僕、心から頑張るんで』と何の根拠もないまま言いに行って。20年の10月には『有吉さんの壁』(=『有吉の壁』)が入ったんですよ。『オンエアはみんなで見よう』って実家の畑で言ったら、『いや、もう帰ってこなくていい』って家族に言われて。ここまで有吉さんや川島さんが推してくれて、『有吉さんの壁』にまで出るのに、『まだそんなこと言ってるの?』って」

14年ごろから芸の底上げをしてきたことが21年に花開いた。ナレーションの仕事も「ワンコイン教室のおかげです」とのこと。それでは、22年の目標は?

「『おグッズ!』を長野朝日放送さんにオンエアしていただけるくらい、面白い形にできたら。そのためには放送時間を上げたり……、あっ、今のは生意気な表現でしたけど(笑)、みんなが口コミしたくなっちゃうような番組にできるように、精進していきたいです」

もう中学生
 1983年2月14日生まれ、長野県出身。NSC東京校7期生。2001年から活動を開始し、イラストを描いた段ボールを使ったネタで人気に。公式YouTube『もう中学生のモーチューブ』更新中。『もう中学生のおグッズ!』(月曜26時36分/テレビ朝日)から生まれた日めくりカレンダー「まいにち、もう中学生」が3月14日に発売。

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2022年2月号の記事を再構成]

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