DNP、世界の書籍をオンデマンド製造 米企業と契約
大日本印刷(DNP)は米大手取次企業のイングラム社の子会社であるライトニングソース社と、海外の書籍をオンデマンド製造・販売するパートナー契約を締結した。ライトニングソース社が各国の出版社から販売許諾を持っている書物を、DNPが日本国内の注文に応じて製造・販売する。5年後までに累計で約30億円の売り上げを目指す。
ライトニングソース社は需要に応じて書籍の必要な部数を印刷するPOD(プリントオンデマンド)事業を手掛けている。さらにドイツやフランスなど世界15カ国の出版社から書籍の販売許諾を受けて、各地のパートナー企業が現地で書籍をオンデマンド製造する「グローバルコネクト」事業を展開している。
パートナー契約する企業は一国で1社に限定しており、日本では今回DNPが契約を締結して今月から事業を始めた。DNPはグループ会社の丸善雄松堂の書籍販売サイト「ナレッジワーカー」で海外の書籍の注文を受け、オンデマンドで製造する。DNPが運営する電子書籍販売サイト「honto」やアマゾンでも注文・販売を予定する。
日本国内の研究者や専門家にとって、国内で流通が少ない書物を輸送費用や時間を削減して購入できる。DNPによると、海外からの学術書を大学や研究機関に販売している丸善雄松堂で、研究者から洋書を迅速に手に入れたい需要が強いとのことだ。
今後、DNPはライトニング社とのパートナー契約を生かして海外のパートナー企業と連携し、日本の書物を海外に提供するビジネスを検討している。DNPが日本の出版社から販売許諾を持つ書物を、海外に製造拠点を持つパートナー企業がオンデマンド製造する。日本の文化やキャラクターに関する書物の需要を想定する。