米クアルコム、スマホ半導体 動画再生80分長く

米クアルコムは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載するスマートフォン向けで、電力効率を30%高めた半導体を開発した。1回の充電でゲームは60分、動画の閲覧を80分長く楽しめるという。中国の小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)などのスマホメーカーに供給し、7月にも搭載したスマホが発売される予定だ。
投入を開始するのはスマホの処理性能を左右する中核半導体の新製品。「SoC(システム・オン・チップ)」と呼ばれ、CPU(中央演算処理装置)とGPU(画像処理半導体)の機能を持つ。従来製品より10%処理も速くした。高精細の動画やゲームをよりスムーズに処理できる。音楽や通話の際の音質を高める機能も搭載した。
生産は台湾積体電路製造(TSMC)に委託し、最先端の4ナノ(ナノは10億分の1)の製造ラインで製造する。
スマホは高機能化が加速しており、半導体が製品の性能に直結する。特に中核半導体に画像処理や通信処理など様々な機能を盛り込む開発が進んでいる。スマホメーカーでは米アップル「iPhone」が独自の半導体を採用する動きを進めている。
「アンドロイド」を搭載するメーカーにとってクアルコムの存在感は大きい。高速通信規格「5G」スマホの中核半導体では世界シェア約3割を握る。
クアルコムは半導体と併せ、拡張現実(AR)グラスのデモ機を開発した。近距離無線のブルートゥースなどを使ってスマホとつなぎ、データをやりとりする。今後AR関連の需要が拡大するとみて、自ら端末も開発することで対応する半導体開発につなげる。