マツダ労組、賃上げ1万3000円要求 過去最高

マツダ労働組合は23日、2023年の春季労使交渉でベースアップ(ベア)に相当する「賃金改善分」と定期昇給に相当する「賃金制度維持分」の総額で月1万3000円を要求する執行部案を固めた。要求ベースの賃上げ率は約4%となる。年間一時金は5.3カ月分を要求する。
22年の要求を大きく上回り、現在の人事制度になった03年以降で最高となる。22年は月例賃金の引き上げで月7000円、年間一時金は5カ月分プラス3万円を要求し、会社は満額回答している。
2月13日に開く代議員会で正式に決める。直近の物価上昇に伴う家計の負担増や会社の業績改善を踏まえた。原田悟執行委員長は「生活を守る観点も踏まえて組合員が納得できる要求を考え抜いた」とコメントした。
要求の基礎とした組合員一人平均の月例賃金(残業代を除く、手当を含む)は32万392円で、総額1万3000円の賃上げは約4%にあたる。ベアと定昇分などの内訳は明らかにしていない。19年と20年に総額月9000円を要求したのが従来の最高だった。
年間一時金の要求は、5.4カ月分を求めた18年以来5年ぶりの水準となる。マツダの今期業績は連結純利益が前期比59%増の1300億円となる計画で、7年ぶりの水準に回復を見込んでいる。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。
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