いすゞ、2カ月ぶり高値 日野自動車の出荷停止で需要
銘柄診断
23日の東京株式市場でいすゞ自動車株が続伸し、一時前日比3%(44円)高の1662円と約2カ月ぶりの高値をつけた。22日には日野自動車のエンジン不正問題で小型トラックの出荷停止が発表されたことを受け、代替需要を取り込むとの観測から買われた。

終値は29円(2%)高の1647円だった。売買代金は前日の約2倍に膨らんだ。競合する日野自の国内向けトラックがほぼ全車出荷停止となったことで、いすゞのシェアが拡大するとの見方が広まったとみられる。
電子商取引(EC)の拡大などを背景に、物流網を支えるトラックの需要は国内外で伸びている。いすゞは2021年5月に発表した中期経営計画で、24年3月期の営業利益を2500億円とする目標を掲げた。
23年3月期の業績予想(2000億円)を500億円上回る。22年4~6月期のグローバル販売台数は前年同期比8%増と順調に推移しており「通期業績見通しには上振れ余地が残る」(クレディ・スイス証券の秋田昌洋氏)。
日野自の不正問題によって競争環境が緩和され、目標達成の追い風になるとの声もある。岡三証券の成瀬伸弥氏は「達成の確度が高まれば、株価も現在の水準を上回るだろう」と分析する。予想PER(株価収益率)は10倍台と割高感は乏しい。