クボタ、世界もデジタルも耕す 連載まとめ読み
クボタが過去10年間で売上高を2倍以上の2兆円まで増やし急成長を遂げています。原動力となっている海外事業では、2022年にインドのトラクター大手を買収して世界最大の市場を押さえるのと同時に、インドを起点とした新たな世界戦略を描きます。デジタル分野では基幹システムの刷新に500億円を投じるなど、デジタルトランスフォーメーション(DX)対応にも動きます。新たな変貌を遂げつつある現場に迫る連載企画「クボタ 世界深耕」のまとめ読みです。
(1)クボタ、インドから世界耕す 買収企業にスズキ哲学

過去最大の投資となる1400億円を投じてインドのトラクター大手、エスコーツを買収した。世界最大市場のインド向けに製品を開発・販売するほか、インドを起点に欧米やアフリカに供給する戦略を描く。

(2)クボタ、二兎追う研究開発 低価格・高級市場に布石

トラクターは低価格の市場と、自動運転や二酸化炭素(CO2)を排出しないトラクターなど高級市場に二極化しつつある。低価格市場は競争力のあるインドのメーカーの買収で対応し、高級市場は約840億円で新設した日本の研究施設をハブに世界中で研究開発体制を整える。

(3)「クボタと組み完全な品ぞろえに」インド社の社長語る

クボタは4月、同社として過去最多の約1400億円を投じてインドのトラクター大手エスコーツ(現エスコーツクボタ)を買収した。両社は共同で研究開発を重ね、インド国内にとどまらず、欧米向けトラクターの製造も模索する。エスコーツクボタのニキル・ナンダ社長は「インドが世界市場のハブになる」と話す。

(4)クボタ、遅れた「DX元年」 コロナの反省で大型投資

クボタがDXに向けて重い腰を上げた。基幹システムの刷新に500億円を投じるほか、全社のDXを担う新会社も立ち上げた。きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大による製造や物流の混乱だ。遅れた「DX元年」を迎え、デジタルを活用した効率性重視の経営へと舵(かじ)を切れるか。

(5)クボタ、脱「自前主義」 独自決裁でスタートアップ出資

クボタがスタートアップへの出資や連携を深めている。新技術は従来、自社開発が基本だったが、他社が持つ人工知能(AI)やロボットなどの技術を新製品開発に生かす。2019年に社長直下の専門組織を新設し、独自決裁で世界中のスタートアップに出資できるようにした。オープンイノベーションの推進で変化が速い市場に対応する。

(6)クボタ、新事業は社長にプレゼン 農機シェアなど挑戦

クボタが新規事業の開発に力を入れている。国内外のスタートアップへの出資も担う2019年設立のイノベーションセンターが主体となり、農機のシェアリングサービスやハウス栽培の自動化などの事業に取り組む。10年後のクボタの柱となる事業を生み出すべく、社長直下で新規事業の開発を急ぐ。

(7)クボタ、「もっとスピードあげないと」 木股会長の教え

海外事業などをけん引してきた木股昌俊会長が2023年3月で退任する。14年に社長に就任し、20年に会長となってからは北尾裕一社長と海外企業のM&A(合併・買収)を進めてきた。スタートアップへの投資や、最先端の研究開発拠点の整備にも取り組んできた。木股会長は「世界のトップに肩を並べるには、もっとスピードを上げないとあかん」と発破をかける。


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