就活のES・面接のポイントは? 読むNIKKEI LIVE
就活探偵団・編集会議

2024年春卒業予定の大学生を対象にした採用広報が1日に解禁された。選考に向けてどのような準備をしたらいいのか。就活探偵団のメンバーが、エントリーシート(ES)の書き方や面接に臨む際の注意点などについて「NIKKEI LIVE」で議論した。(参加者は編集デスクと探偵団の記者4人)

https://www.nikkei.com/live/event/EVT230308001/live
デスク「新型コロナウイルス禍で学生時代に力を入れたこと、いわゆる『ガクチカ』を書くのに困るって話をよく聞きます」
佐藤記者「私が話を聞いた就活生はエピソードの珍しさや面白さではなく、エピソードを通じて自分の人となりをどうやってアピールできるかが重要だと話していました。面白さよりも、話が広がるかや話しやすさの観点から選ぶのがいいでしょう」
岡本記者「私の場合は『失敗から学んで成長した』という展開で書くようにしました。失敗と成長の分量は同じくらい。ヤマ場になる学びの部分を文章の導入に持ってきて、採用担当者の興味を引くことを心がけていました」
「ガクチカ」企業も悩む
香月記者「就活に詳しい中央大学キャリアセンターの池田浩二さんも、派手なエピソードである必要はないといっていました。自分の特徴を示す内容であることが重要といいます。以前取材した就活生は、留学時のエピソードではなく、留学資金をためるためにアルバイトに励んだ話をして、目標に向かって努力できる姿勢をアピールしたと話していました」

香月「ガクチカでは企業の側も悩んでいます。日立製作所は2024年度の選考でガクチカを聞かないと発表しました。代わりに『入社後どの職種で、日立のリソースを用いてどのように社会課題の解決に取り組みたいか。それはなぜか』という質問を設けました。持ち時間5分で自由にプレゼンするよう就活生に求めるそうです」
香月「質問を変えた背景には、新型コロナ禍もあって、ガクチカが同じ回答になってしまう傾向にあり、掘り下げるのが難しいという状況があったそうです。日立のことをどれくらい調べたのか、自分のやりたいことにどれくらい向き合ったのか見極めたいようです」
デスク「ESの書き方全般で注意すべきポイントを考えてみようか」
香月「採用コンサルタントの谷出正直さんによると、ESは次のステップに進む人を『絞る』フィルターなので、いかに失点をなくすかが最初のポイントになるとのことです」
湯沢記者「当たり前かもしれませんが一夜漬けでやろうとしないということですね。出版社のESを締め切りの前日に書き始めたところ、自分を表す写真1枚とその説明を書く項目があってエントリーをあきらめた苦い思い出があります」
佐藤「会社のホームページや就活資料に出ていて、誰でも簡単に知ることができるようなことは志望理由に盛り込まないようにしていました。『業界1位』や事業内容などは採用担当者は百も承知で、他の就活生と違いを出せません」
マスクは臨機応変に
デスク「ESの次に待ち構える関門が面接です。『マスク解除になった後の傾向を知りたい』という質問をもらったんだけど、企業の姿勢はどうかな」
香月「数社に聞いてみましたが、個人の判断によるという企業が多いようです。ただ、密になる空間では着用をお願いする場合もあるという回答もあり、マスクを携帯していたほうがいいかもしれません」
デスク「対面選考は増えそうですか」
香月「対面選考は徐々に増えそうですが、企業は段階によって使い分けているという状況です。就職情報大手のマイナビが24年卒を対象にした選考について企業にアンケートしたところ、全てウェブと回答した企業は1次面接は27.6%でしたが、最終面接では2.8%にとどまりました。一方、全て対面と回答した企業は1次面接は36.5%だったのに対し、最終面接では80.7%でした」

デスク「オンライン面接で気をつけるべき点はありますか」
岡本「背景を真っ白にしていました。何か映っていると面接官の方も集中できないでしょうし、予断を持たれたくなかったためです」
デスク「対面面接で注意したことはありますか」
佐藤「面接の段階ごとの選考ポイントを押さえておくということでした。ESの時にもありましたが、一次面接は面接官に落とす理由を見つけられないことが大切です。身だしなみやわかりやすい話し方など、基本的な要素を押さえて失点のないようにすることが最も重要です。逆に二次面接以降は担当者にいかに自分を通す理由を見つけてもらえるかが勝負です」
ウソはご法度
デスク「面接の事前準備はどうしていましたか」
岡本「会話のようにするのが理想と考えていたので、予定稿はあえて用意しませんでした。暗記した文章に頼っているととっぴな質問に対応できないかもしれないと思っていました」

佐藤「私はパニックにならないよう、ある程度準備していました。ほぼ確実に聞かれる志望理由やその企業でよく聞かれるような質問は、何を伝えたいのかポイント3つくらいを事前に明確にしておきました」
湯沢「当たり前ではありますが、志望理由はウソはつかないように心がけていました。話が矛盾する可能性がありますし、辻つま合わせで頭がいっぱいになるのも怖かったからです」
佐藤「業界の中でその企業の強みは何か、どのような立ち位置なのかをOB・OG訪問で聞いたり、自分なりに分析したりして志望理由に盛り込んでいました。落ちた面接は必ず振り返るようにしていました。ノートにQ&Aをまとめて、もっとこういう話をすればよかったと思う内容を書き留めて次に生かしていました」
(鈴木洋介、香月夏子、佐藤優衣、湯沢周平、岡本康輝=3月22日の会議を基に構成)
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