フジテック、社長の取締役再任案を取り下げ 総会直前に
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エレベーター大手のフジテックは23日、同日開く株主総会の議案のうち、創業家出身の内山高一社長を取締役として再任する議案を取り下げたと発表した。一部株主が創業家とフジテックとの間の取引を問題視し、議案に反対するよう呼びかけていた。同日付で内山氏が代表権のない会長に就き、岡田隆夫副社長が社長に昇格する人事を決めた。
総会当日に会社が提案した現職社長の取締役再任案を取り下げるのは異例だ。総会は滋賀県彦根市の本店で午前10時から開いた。会社が提案した剰余金の処分案や取締役選任など8つの議案を可決して終了した。
内山氏については、フジテック株の9%超を保有しているとみられる香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが再任に反対するよう他の株主に呼びかけていた。創業家である内山家が保有する法人とフジテックとの間で「多数の疑わしい関連当事者取引がある」などと主張していた。
創業家との取引については社外取締役が主導した調査で「法的にも、企業統治上も問題ない」としていた。ただ投資家から、より独立性の高い第三者による調査を求める声が出たことに対応し、17日には第三者委員会の設置も決めた。
フジテック側は再任案取り下げの理由について「事前の票読みは影響していない」と否定する。「第三者委による調査で問題がないと確認できた際に株主に諮るべきだと考えた」と説明している。
フジテックは外国人の持ち株比率が4割超に達する。海外の機関投資家の議決権行使に影響を与える米助言会社大手のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスも内山氏の再任案に反対を推奨していた。
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