富士レビオ、欧州新興を買収 認知症検査薬の開発強化へ
臨床検査受託大手H.U.グループホールディングス(HD)傘下の診断薬メーカー富士レビオHD(東京・新宿)は23日、4000万ユーロ(約55億円)を投じてベルギーの検査薬スタートアップを買収すると発表した。買収するADxニューロサイエンシズはアルツハイマー型認知症の検査薬原料で開発や販売を手がける。富士レビオHDは買収によって、対応できる検査項目を増やし、国際競争力を上げる。

富士レビオHDの欧州子会社、フジレビオ・ヨーロッパを通じてADxの全株式を取得する契約を締結した。買収は7月に完了する見込みだ。ADxは2011年の設立で、アルツハイマー型認知症などの神経疾患領域で検査薬原料を開発、販売している。
富士レビオHDもアルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドベータ」の脳内での蓄積状況を調べる試薬の開発・販売を手がけているが、現在は腰に針を刺して採取する脳脊髄液で検査するものが主体だ。今回の買収で、より身体への負担が少ない血液検体による検査手法を強化する。
海外試薬大手から試薬の開発・製造を受託する事業も強化する。検査薬は専用の検査機器と組み合わせて使う必要があるが、世界では欧米の大手試薬メーカーの検査機器が数万台もあるのに対し、富士レビオHDの機器は約2000台にとどまっていた。海外大手の機器向けにカスタマイズした検査薬を受託生産することで、海外市場への販売拡大につなげる。
ADxの売上高は数億円。富士レビオHDの石川剛生社長は「既存事業とのシナジー(相乗効果)で買収の効果を高めたい」と話す。