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製鋼用の合金鉄、1カ月で8割高 中国の電力制限で品薄

製鋼原料の価格が急騰している。副原料に使う合金鉄は1カ月で8割上昇し、最高値を更新した。主要生産国の中国で電力制限から供給が落ち込み、需給が逼迫した。主原料では鉄スクラップも約13年ぶりの高値圏だ。原料高が一段と進んだことで、採算が悪化した鉄鋼メーカーは鋼材価格への転嫁姿勢を強めている。

製鉄の際に脱酸素材として使う合金鉄フェロシリコンは、日本の商社のスポット(随時契約)品の買値が現在1トン45万円前後。前月から20万5000円(84%)上昇し、2カ月連続で最高値を更新した。2020年7~8月につけた直近の底値(同14万円前後)から3倍強の高値になった。

供給の制約が響く。中国では発電燃料の不足による電力制限から、電炉を使って生産する多くの産業資材が減産に追い込まれている。フェロシリコンは電炉で生産する際に1トンあたりおよそ8000キロワット時の電力を消費するとされる。電力消費の大きさから現地の生産者には厳しい生産制限が課されているもようだ。

自動車減産の影響が出ているものの鉄鋼生産は世界的に堅調で、フェロシリコンの需要は底堅い。需給の引き締まりを受け、中国産のフェロシリコンの国際取引価格は直近で10月中旬に1トン4500ドル程度とこの1カ月で約9割上昇し、日本の商社も買値を上げた。

主原料も高い。高炉の鉄鋼メーカーの鉄鉱石調達価格が最高値を付けたのに続き、足元は電炉のメーカーが使う鉄スクラップが高騰している。鉄筋くずなどからなる標準品種「H2」は、前週時点の電炉の買値が東京地区で1トン5万4000円前後。夏場から弱含みで推移していたが9月下旬の反発後は1カ月で16%急伸し、08年8月以来13年2カ月ぶりの水準になった。

新型コロナウイルス禍で建物の解体工事が少なく鉄筋くずの発生が少ない。電炉大手の東京製鉄が鉄スクラップの買値を断続的に引き上げ、他の電炉会社も追随している。

製鋼原料の急速な値上がりは鉄鋼業界の採算悪化を招く。特に厳しいとされるのが鉄筋に使う異形棒鋼の電炉専業メーカーだ。関東の棒鋼メーカーによると、フェロシリコンの10~12月期の調達価格は7~9月期から3割強高く、1~3月期の2倍以上の水準という。製造コストの半分近くを占める鉄スクラップのほか電気料金の上昇も重なり「いまはつくっても赤字。破滅的な状況にうろたえている」(社長)。

棒鋼は鉄筋コンクリート造(RC造)の中小物件の建設不振から、鋼板類や形鋼類より原料高の転嫁が遅れているが、棒鋼メーカー側はゼネコンに値上げを強く要請。ゼネコン側も段階的に受け入れている。棒鋼で指標となる直径16ミリメートル品の大口需要家渡し価格は、東京地区で現在1トン9万7000円前後。前月から5%上昇した。

それでも棒鋼の販売会社の幹部は「メーカーの事業継続を考えると、もう一段の価格上昇が必要」と話す。棒鋼相場の上昇が中小物件の建設意欲を冷やすリスクも高まっている。

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