コスモが新中計、次世代エネに1400億円 株主還元強化

コスモエネルギーホールディングス(HD)は23日、2026年3月期を最終年度とする3カ年の新中期経営計画を発表した。風力発電や再生航空燃料(SAF)など次世代エネルギーに1400億円を投資する。同社は実質的な筆頭株主で村上世彰氏が関わる投資会社と対立している。要求されていた風力発電子会社の上場には応じなかったが、株主還元を大幅に引き上げて理解を得る考えを示した。
ガソリンなど石油製品の国内需要が減少しており、風力発電やSAFなどの次世代エネを伸ばして化石燃料の依存度を減らす。在庫影響を除いた経常利益は26年3月期に1650億円と、23年3月期予想の1400億円から250億円積み上げる。
コスモHD株を約2割保有する村上氏側は1月、次期中計で風力発電の子会社の上場や株主還元などを求める意見書を公表。内容が十分でなければ定時株主総会でも問うとの姿勢を示していた。
これに対し、コスモHDは風力発電事業の上場は否定した。同社の風力発電は国内でも有数のシェアを誇る。電力小売り販売や需給調整などと組み合わせることで風力発電を拡大できるとし、自社で持っていた方が相乗効果が高いと主張した。
一方で、株主還元は引き上げる。総還元性向を現状の50%以上から60%以上に引き上げるほか、年間配当も現状の150円から200円以上に高める。
同日記者会見を開いた山田茂取締役常務執行役員は「(村上氏に対する)一定の回答は今回の中計で入っている」と述べた。コスモHDは株主還元を手厚くすることでバランスを取り理解を得たい考えだ。