どうなる「そごう・西武」 まとめ読み
セブン&アイ・ホールディングスが2023年2月1日に傘下の大手百貨店、そごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却します。フォートレスは家電量販大手のヨドバシホールディングスと連携する方針ですが、旗艦店の地権者や地元自治体などの思惑が絡み、新しい経営方針の策定まで曲折も予想されます。売却方針が表面化した22年1月以降の交渉過程を振り返りながら、そごう・西武と百貨店業界のこれからを読み解きます。
セブン、「そごう・西武」売却に動く

セブン&アイは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を傘下に入れました。セブン―イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂を軸にしたグループ運営に百貨店を加えた多様な業態による相乗効果を狙いましたが、大きな成果を出せないままでした。株主らからコングロマリット経営を疑問視する声も高まるなか、そごう・西武の売却を決断しました。
「ベストオーナー」は誰か 売却交渉は長期化

「ベストオーナーを探す」(セブン&アイ首脳)という、そごう・西武の売却交渉は7月までにフォートレスが優先交渉権を得ました。フォートレスがヨドバシホールディングスと連携する構想が明らかになった一方、条件面での折り合いがなかなかつかず、交渉が長期化しました。
新しいオーナーは「フォートレス・ヨドバシ連合」

11月にそごう・西武の売却先が米フォートレスに決まりました。フォートレスはヨドバシと手を組み、そごう・西武の経営に取り組む方針を明らかにしました。
再建の焦点は「西武池袋本店」

世界有数のターミナル駅である池袋駅に隣接する西武池袋本店(東京・豊島)の施設内に、ヨドバシが進出する案が取り沙汰されています。「ヨドバシ出店」を巡り、西武池袋本店の地権者である西武ホールディングス首脳や地元自治体首長が相次ぎ持論を表明するなど、関係者の注目が集まっています。
百貨店に明日はあるか

旧セゾングループの中核企業として芸術・文化を発信する役割も担った西武百貨店と、飽くなき拡大戦略で地方都市に百貨店をつくり続けたそごう。この2社が統合したそごう・西武の盛衰は、「一億総中流」と呼ばれた日本の消費を取り込んで成長し、今は市場縮小に直面する百貨店の写し鏡でもあります。そごう・西武の再建は、百貨店業界の未来を占う試金石となりそうです。