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ヤマト運輸、パートナー業務をDX 積み込み指示自動化

日経ビジネス電子版

電子商取引(EC)市場の急拡大で人手不足に悩まされてきた運輸業界。ドライバーを集めるには長時間労働の改善が欠かせない。ヤマト運輸が始めようとしているのは、経験や勘でトラックに荷物を積み込んでいる作業の一部自動化だ。遅れていた運輸のデジタルトランスフォーメーション(DX)が一歩進む。

ヤマト運輸は11月5日、まず東京都内の配送センター1カ所に、荷物積み込み作業の効率化の仕組みを導入した。同社はEC事業者から個人や企業への配送を、全国の約1万6000人のパートナー事業者「EAZY CREW(イージークルー)」に委託しており、そのイージークルーの業務を改善する。順次、全国に展開していく。

このソリューションでは、ドライバーがスマートフォンを荷物のQRコードにかざすだけで、トラックのどこに積んだらいいかを指示してくれる。

荷台を2~4区分に分けて、最後のほうに配送する荷物は一番奥に、最初に配送する荷物は手前にといった指示が拡張現実(AR)の機能によって、浮かび上がるように表示され、機械的に積めるようになった。

いちいち考える必要がなくなったため、積み込み作業のスピードが上がった。2020年6月から行っている実証実験では、積み込み作業の時間は従来に比べて約20%短くなった。

課題は約1万6000人の効率化

「積み込み作業の効率化を図ることで、パートナー事業者であるイージークルーの配送品質の向上、負荷を軽減できる」とヤマト運輸の担当者は期待する。

同社は20年3月にEC事業部を立ち上げ、同年6月からパートナーの協力を仰いできた。ただ、作業の効率は悪かった。パートナーの多くは配送の経験が浅く、積み込み作業でも苦労していた。

ドライバーが伝票に印字された住所情報を基に、経験を頼りにして配送ルートを考えながら荷物を積む。配送する順番に、トラックの一番奥に積んだり、手前に積んだりしていた。いちいち考えながら荷物を積むため時間がかかっていた。

このソリューションをヤマト運輸に提供しているのが、スイスのチューリヒに本社を置くスキャンディットだ。

同社は世界で1000社以上にソフトウエア開発キット「Scandit Barcode Scanner SDK」を提供している。社員数は320人以上で、米アップルや韓国のサムスン電子などとパートナー契約を結んでいる。

スキャンディットが毎週修正

ヤマト運輸は20年6月からスキャンディット以外の製品も含めて実証実験を行ってきた。スキャンディットのソリューションについては実証実験を開始して約1カ月で「使える」と判断できたという。

実験期間中、スキャンディットが毎週、使い勝手やスキャン速度を改善したことも採用の決め手になったようだ。「QRコードの読み取り時間は3分の1まで短縮され、誤読も解消されるようになった」(ヤマト運輸)

イージークルーの1社で、22年1月から今回の仕組みを導入する四国軽貨物(徳島市)の担当者は「どのように積み込めばよいのかが可視化され、未経験でもスムーズに業務に当たれると感じる」と話す。

荷物のバーコードから住所を読み取って積載する場所を教えてくれるだけでなく、ドライバーが自分の好きな配送ルートを指定した場合でも、それに合わせて荷物の積み込み場所を指示してもらえる点にも、使い勝手の良さがあると評価している。

「今後は、荷物に宛先の名前や住所といった個人情報を表示しなくてもいいようにしていく」とヤマト運輸の担当者は説明する。今回のソリューションを宅急便に導入するかは未定だが、イージークルーへの導入後に今後の展開を検討する。

(日経ビジネス 多田和市)

[日経ビジネス電子版 2021年11月22日の記事を再構成]

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