新型コロナ感染症 悪化にかかわる抗体特定、阪大
大阪大学の荒瀬尚教授らの研究チームは24日、新型コロナウイルス感染症の悪化に関わる抗体を見つけたと発表した。感染を防ぐ働きをする「中和抗体」の効果を弱めていた。重症者から多く見つかっており、感染したことのない人でも持つ場合がある。こうした抗体を作らないワクチンの開発に役立つ成果だという。
新型コロナウイルスは人の細胞表面にある「ACE2」というたんぱく質にくっついて細胞内に侵入する。研究チームは感染者の血液から76種類の抗体を取り出して調べ、ACE2にウイルスがくっつきやすくなる抗体6種類を見つけた。これらを中和抗体と混ぜると、中和抗体の感染を防ぐ力が弱まった。
見つけた抗体がウイルス表面にある「スパイク」というたんぱく質にくっつくと、スパイクの構造が変化し、その結果、細胞にウイルスが侵入しやすくなっていた。重症化に関わる可能性もあるという。
研究チームは見つけた抗体の中で、スパイクにくっつく部位を特定した。荒瀬教授は「この抗体はワクチンを接種した際にも作られる場合がある。抗体が作られないようにワクチンを改良することは可能だ」と話す。