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日産、30年までに全新車に自動運転 事故回避へ新技術

(更新)

自動運転の普及に向けた主戦場が大衆車に移りつつある。日産自動車は25日、2030年までに自動運転機能を全車に付けると発表した。複数の歩行者や車が関わる複雑な事故を回避する新技術の実用化にめどをつけた。自動運転は電動化と並ぶ次世代車の目玉だ。ホンダも同年までに先進国で販売する新車に標準搭載する。より高度な技術の開発は米中勢が先行するが、国内の車大手は普及車への搭載で巻き返す。

同日、日産が公開した新技術は複数の歩行者や車を避け、事故を防ぐことができる。例えば、衝突しそうになった車を回避し、さらに歩行者が飛び出してきても急停止でかわすことができる。米新興企業のルミナー・テクノロジーズとセンサーの技術で、自動運転のシミュレーションでは同アプライド・インテューイションとそれぞれ連携して開発した。

日産は「連続して起こる事故原因に同時に対応できる技術は他社よりも進んでいる」としている。この技術を自動運転の中核に据え、現在は車種ベースで数%とみられる自動運転車をすべての新車に広げる方針だ。

自動運転は技術レベルに応じて5段階に分かれる。

高速道路などで手放し運転が可能なのがレベル2だ。運転支援の位置づけのため、運転手がハンドルから手を離しても、視線を前方から離すことは認められていない。レベル3は自動運転モードであれば前方から目を離してスマートフォンの操作も認められる。レベル4は運転者が乗らずに無人でも走行できる。日産が新たに開発した技術はいずれの段階でも不可欠なベースとなる技術だ。

自動運転の先端技術の開発は海外勢が先行している。米テスラはレベル2に対応した機能をすでに新車のすべてに搭載している。米アルファベット傘下で自動運転の開発を手掛けるウェイモはレベル4の機能を搭載した無人タクシーを開発。20年から米アリゾナ州で補助ドライバーなしで運行している。

中国でも百度(バイドゥ)や上海汽車集団などが自動運転タクシーの運行を始めている。独フォルクスワーゲン(VW)も26年にもレベル4を実用化する計画を打ち出し、公道で実験を始めた。

一方、日本車大手は自動運転の対応車種を増やすスピードで対抗する方針で、戦略の違いがはっきりしてきた。

ホンダは30年までに日本や米国で販売する新車の全てにレベル2に対応したシステムを搭載。21年にはレベル3に対応した車種も発売した。トヨタ自動車も22年中をめどにレベル2の機能を「クラウン」などの主力車に標準搭載する。

VWなど海外の車大手は自動運転の普及目標を明確に示していない。日本車は低価格帯の車にも自動運転システムを付けることをアピールし、競合との違いを打ち出したい考えだ。

調査会社の富士経済によると、自動運転車(同一車線の維持など初歩的な機能含む)の世界販売台数は35年に20年比で2.4倍の1億台弱になる見通しだ。ほぼすべての新車が自動運転に対応した車種になる。自動運転に不可欠な高機能センサーの取り付けなどでかさむコストを抑え、いかに対応車種を増やせるかが電気自動車(EV)への移行と並んで、各社の競争力を大きく左右することになる。

自動運転の普及には法整備も欠かせない。日本では3月、レベル4の車の公道走行を許可する制度を盛り込んだ道路交通法の改正案を閣議決定した。米国や中国、ドイツなどに法整備などで遅れていたが、自動運転の開発環境が整いつつある。日本勢は普及帯のレベル2でシェアや信頼性を高め、より高いレベルの自動運転でIT(情報技術)大手を含む海外勢に伍(ご)していく構えだ。

(湯前宗太郎)

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