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スタートアップ連携のコツ

SmartTimes グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮慎一氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

大企業がDX(デジタル・トランスフォメーション:IT技術を活用した旧来産業の変革)を推進するにあたっては、多くの場合完全に自力でやりきることは難しく、スタートアップとの連携が必要となる。

9月7日米国大手オンライン決済サービスのペイパルが、日本のBNPL(Buy Now Pay Later:後払い決済)サービスのスタートアップのペイディを3,000億円で買収すると発表された。ペイパルが、BNPLという新たな事業領域、日本という新しい地域に進出するにあたり、巨額な資金を活用し、ダイナミックな打ち手に出たのだ。

では、大企業は、どのような時にスタートアップとの連携を活用すべきなのだろうか?そして、その時、片っぱしから買収していけばよいのか?ペイパルほど資金力がないところはどうしたらよいのだろうか?スタートアップ連携の『目的』と『手法』に分けて考えていきたい。

大企業が、スタートアップと連携する目的としては大きく2つある。既存事業の再成長と新規事業の立ち上げだ。既存事業の再成長の中で、一番わかりやすのは顧客や販売チャネルを獲得して「シェア」を買うパターンだ。次に、既存事業の「再成長のドライバー」となる新規テクノロジーやビジネスモデルを取り込むパターン。さらに自社事業を根本からひっくり返しえる「破壊的なイノベーション」の取り込みだ。新規事業の立ち上げにも、既存事業とシナジーがある「周辺領域への展開」と、全くの「飛び地となる新規領域に参入」がある。経営としては、まずは全社戦略からの逆引きで、スタートアップ連携に何を求めるかを明確にすることが肝要だ。

その上で、その目的をかなえる連携の方法となる。資本を伴わない単なる取引や業務提携から、買収までその幅は広い。戦略に対して合目的であること、Make or Buy(内製するか、外部から獲得するか)も含めて、もっとも資本効率が良いやり方を選択するということになる。資本効率を考えると、徐々に関係を深めていく「ステージング」が重要となる。最初は、取引関係を通じて情報を集め、関係を構築する。望ましい相手であれば、業務提携に持ち込む。そして、業務提携がうまく回ることが確認されたら、契りを結ぶ、競合を排除するためにマイノリティ投資をする。さらに、自社の成長にとって不可欠、競合に取られてしまうと競争上大きく劣後してしまうことが確信となったら、完全に買収することが良いだろう。

スタートアップと連携は、むやみに出資すればよいというわけではない。自社の戦略の実現のために、最も整合する形で、段階的に進めていくのが、ペストプラクティスということだ。今後日本の大企業が再成長し、国際競争力のある新たな産業となるためには、大企業とスタートアップが連携して、一丸となってグローバルレベルでの激しい競争を勝ち抜くことが必須となる。

[日経産業新聞2021年10月1日付]

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