自己増幅型のワクチン 米新興、日本で治験開始

米医薬品開発のエリクサジェン・セラピューティックス(メリーランド州)が開発する新型コロナワクチンの臨床試験(治験)がこのほど、藤田医科大学病院(愛知県豊明市)で始まった。自己増幅機能を持ったメッセンジャーRNA(mRNA)を使ったワクチンで、投与量を既存の米ファイザー製などに比べ減らせる可能性がある。
治験は医師主導型で、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受ける。5月20日に1人目が接種しており、フェーズ1(第1相)と第2相では60人が接種する予定。安全性や効果を検証する。第1相と第2相の治験を実施し、年内に結果を見て最終段階の第3相に移行するかどうか決める計画だ。
エリクサジェンのワクチンには自己増幅機能に加えて、セ氏30~セ氏35度で働く機能を持たせており、皮膚内(33度)でのみ効果がある。温度が高い体内深部では働かないことで、自己増幅が過度に続くリスクを低減できるという。
また同社はワクチンを皮膚内に投与することで細胞性免疫の仕組みをより「活用できるはずだ」としている。細胞性免疫とは細胞が直接ウイルスを攻撃する仕組みを活用するタイプで、変異型にも広く対応できる可能性があるとされている。