8月のエチレン稼働率、再び90%割れ 中国都市封鎖響く

石油化学工業協会(石化協、東京・中央)は22日、石化製品の原料であるエチレンの生産設備について、8月の稼働率が85.9%(速報ベース)だったと発表した。7月の稼働率も、速報ベースの90.1%から90.0%に修正した。中国のロックダウン(都市封鎖)や、猛暑による電力制限で工場の稼働が落ち込んだのが響いた。
エチレンは自動車・家電や日用品に使う合成樹脂の原料になる。8月の生産量は前年同月比3.7%減の49万4200トン。稼働率は5月、6月と2カ月連続で90%を下回っていた。7月は中国のロックダウン解除による需要回復で3カ月ぶりの90%台となったが、再び割り込んだ。稼働率は好不況の目安となる90%と同水準か、下回る状況が4カ月続いている。
石化協の岩田圭一会長(住友化学社長)は22日の記者会見で「中国ではロックダウンや猛暑による電力制限で工場稼働が落ち込んだ。ウクライナ情勢(の緊迫)や半導体不足による自動車減産も続いており、国内外の悪い要因が重なった」と振り返った。
主要4樹脂の8月の出荷量は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの全てが前年同月を下回った。低密度ポリエチレン以外の3樹脂の出荷量は、8月単月としては過去10年で最低水準だった。
高密度ポリエチレンはシャンプーなどの容器に使う中空成形分野が落ち込んでいる。8月の在庫量は20万9500トンと前年同月比8%増えた。季節調整済みの在庫率(在庫水準を出荷量で割った値)はおよそ4カ月分で「高めの水準」(同協会)という。
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