21年度の粗鋼生産5年ぶり増 15.5%、コロナから回復
日本鉄鋼連盟(鉄連)は21日、2021年度の国内粗鋼生産量が前年度比15.5%増の9563万7千トンだったと発表した。前年度比での増加は5年ぶり。20年度の生産量は新型コロナウイルスの感染拡大で約50年ぶりの低水準に陥ったが、21年度は自動車など製造業の回復で需要が伸びた。ただ足元では、半導体不足や不安定な国際情勢の影響から需要減の懸念も広がっている。
内訳は高炉でつくる「転炉鋼」が15.9%増の7115万2千トン、電炉でつくる「電炉鋼」が14.6%増の2448万5千トンだった。鋼種別では普通鋼が12.3%増の7336万8千トンとなった一方、特殊鋼は27.6%増の2226万9千トンと伸び率が大きかった。「特殊鋼は自動車向けなどに多く使われるため、生産の回復に伴い粗鋼需要も増えた」(鉄連の担当者)
同日発表した22年3月の国内粗鋼生産量は、前年同月比4.3%減の795万5千トンと3カ月連続の減少となった。半導体など部品不足の影響を受け、製造業の生産が滞っていることが背景にある。
足元ではロシアによるウクライナ侵攻や原料高で粗鋼需要が見通しにくい状況だ。鉄連の橋本英二会長(日本製鉄社長)が3月下旬の記者会見で「(ウクライナ問題が)長引くと世界の鉄鋼の需要に甚大な影響が出ると思わざるを得ない」と指摘しており、22年度の粗鋼生産量にも影響が出そうだ。