ジップエアがCO2実質ゼロ路線 まずホノルル

日本航空(JAL)子会社の格安航空会社(LCC)ジップエア・トーキョー(千葉県成田市)は21日、2023年度に成田―ホノルル線の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすると発表した。廃食油などからつくる再生燃料の「持続可能な航空燃料」(SAF)と、排出量取引制度を活用する。25年度には全路線への拡大を目指す。
同社の調べでは、路線単位のCO2排出を通年で実質ゼロにするのは世界で初めて。23年度はホノルル線で燃料の約1%をSAFに切り替え、残りは森林事業への投資などによる温暖化ガスの排出削減量を取引可能にした「カーボンクレジット」の購入で相殺する。ホノルル線では年に約4万トンのCO2を排出している。
同日に会見した西田真吾社長は、コストの増加分について「まずは価格転嫁を考えずに、自社のコスト管理で対応したい」と話した。25年度には全路線の排出分を実質ゼロとすることを目指すという。ジップエアは成田空港を拠点に、北米やアジアなどに国際線6路線を運航している。23年度にサンフランシスコやマニラに就航する計画も明らかにした。
JALグループは2050年に、排出量取引を含まずに航空機の運航によるCO2排出を実質ゼロにする方針。SAFの供給量が限られる中で、ジップエアはまずカーボンクレジットを活用して脱炭素に取り組む。西田社長は「森林保全事業や再生可能エネルギー事業に資金を提供し、環境保全のプロジェクトを活性化させたい」としている。

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