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SNSの未来形「メタバース」 発展支える新興90社

仮想空間上で自らのアバターを通して交流できる「VRChat」
CBINSIGHTS
アバター(分身)を使って人々が自由に活動・交流できる仮想空間「メタバース」が注目されている。SNS(交流サイト)の未来形の一つともいえるサービスで、現実とは異なる空間でほかのプレーヤーと交流や商取引などができる。米フェイスブックが注力する姿勢を見せているほか、金融サービスなど幅広い業界で動きが活発になっている。メタバースに関連する技術やサービスの開発に取り組む世界のスタートアップ約90社をまとめた。

テック業界はこのところ「メタバース」に夢中になっている。もっとも、この言葉はディストピアを描いたSF小説に由来する。

メタバースとは共有の永続的な仮想空間で、現実世界をデジタル空間に反映させた鏡のようなものだが、制約は一切ない。米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は最近、同社をメタバースの企業に移行させる構想を明らかにした。同氏はメタバースについて「コンテンツを閲覧するだけでなく、そこに参加できる具現化されたインターネット」と表現している。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

これは新たなアイデアではない。人々はずっと前から仮想空間が存在するという考えにふけり、「セカンドライフ」や「イブオンライン」といった仮想経済圏に大量の資金を費やして(そして失って)きた。

今やブランドや小売りは売り上げを増やすため、メタバースで顧客との関係を深めるという新たな形態の発展に取り組んでいる。フィンテック企業は新たな金融ニーズに乗じようとこのチャンスに飛びついている。そして、多くのスタートアップはアバターや、ブロックチェーンを使って本物だと証明する「非代替性トークン(NFT)」を活用したデジタル資産など、全く新しいバーチャル製品を作り出している。

CBインサイツのデータを使い、メタバースの土台を築きつつあるスタートアップ約90社を抜き出した。

この市場マップは未上場の存続企業のみで構成しており、この分野の企業を網羅するのが狙いではない。カテゴリーは一部重複している。

メタバースの構築に携わる企業約90社

ザッカーバーグ氏や米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOなどテック企業のトップは、企業に活用され「無限のオフィス」になる可能性があるとしてメタバースをもてはやしている。一方、これは「人工知能(AI)」や「ブロックチェーン」と同様に、空想じみたSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)プラットフォームを派手に展開するスタートアップが投資マネーを得るために使う、幅広く解釈できる言葉になりかねないとの指摘もある。

メタバースが最終的にどんな形になったとしても、台頭するにはインフラ、消費者向けハードウエア、プラットフォームなどのテクノロジーの進化が必要になる。

カテゴリーの内訳

<ソフトウエアエンジン>

プログラミングエンジン:開発者向けのゲームエンジンを手がける企業。ゲームや3次元(3D)空間などのバーチャル製品を作成できる。AIを搭載した3Dエンジンを使えば、ゲームコンテンツ(ゲーム内のキャラクターとのやり取りや物体、環境など)をリアルタイムで作成できるようになる。そうすれば無数のシナリオが可能になり、ゲームの双方向性をさらに高められる。

米ラテントスペース(Latent Space)はAIで生成する3Dエンジンを開発している。一方、中国のrct.AIはよりダイナミックで、双方向性が高く、カスタマイズされたゲームコンテンツを作成できる開発者向けのクラウドサービスとAIプラットフォームを提供する。この分野のもう一つの大手は米ユニティ(Unity)だ。同社は非常に人気が高いクロスプラットフォームのゲームエンジンを開発する上場企業だ。

デジタル素材(アセット)の作成:合成メディアやホログラム、AR(拡張現実)コンテンツなどの仮想コンテンツやデジタル素材の作成ツールを提供する企業。例えば、英グラビティスケッチ(Gravity Sketch)はARを使って3D空間に描画できるツールを手がける。米マークセント(Marxent)など、ブランドや小売りが3Dで製品カタログを可視化できるよう支援する企業もこのカテゴリーに含まれる。

米アップルは2020年4月、このカテゴリーで先頭を走る米ネクストVR(NextVR)を1億ドルで買収した。

<ハードウエアのインターフェース>

仮想現実(VR)/ARの触覚技術:仮想空間の没入感を高めて実物に近づけるため、VR/ARヘッドセット、触覚センサーやデバイスなどの消費者向けハードウエアを開発している企業。法人向けMR(複合現実)に力を入れている米マジックリープ(Magic Leap)や、スマホ向けゲーム「ポケモンGO」を開発した米ナイアンティック(Niantic)などが含まれる。

中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス、ByteDance)はこのほど、中国のVRヘッドセットメーカー、ピコ・インタラクティブ(Pico Interactive)を15億ドルで買収し、この分野に参入した。

ディスプレー:次世代テレビやスマートフォン、ホログラムのディスプレーなど、3Dコンテンツを視聴するインターフェースを手がける企業。米アバガント(Avegant)はバーチャルな物体を実物のように見せるライト・フィールド・ディスプレーを開発している。米3Dライブ(3D Live)はライブイベントやコンサート、遊園地などでより実物に近いホログラムを表示する発光ダイオード(LED)ディスプレーを手がける。

<プロダクト>

仮想空間:ゲーム(例:米サービオス<Survios>や、オンラインゲーム「フォートナイト」を開発した米エピックゲームズ<Epic Games>)、ソーシャル空間(米VRチャット<VRChat>)、オフィス(米インマースド<Immersed>)を介して交流する仮想プラットフォームを運営する企業。VR体験ができる娯楽施設を展開する米サンドボックスVR(Sandbox VR)やオンラインコンサートのプラットフォームを運営する米ウェーブ(Wave)など、3Dや仮想の体験を生み出すツールを手がける企業も含まれる。

アバター:自分自身を表すアバター技術を開発する企業。例えば、米ジーニーズ(Genies)の技術を使えば、カスタマイズされたアバターを作成できる。同社は年内に発表する広範な提携により、ユーザーが自分のアバターを様々なプラットフォームに「持ち運べる」ようにする計画だ。

デジタル素材マーケットプレイス:デジタルグッズを売買する取引所。こうしたマーケットプレイス(電子市場)の多くはNFTを活用した事業に特化している。例えば、フランスのソーレア(Sorare)ではサッカー選手のデジタルカードを売買できる。一方、米オープンシー(OpenSea)はトレーディングカードや、デジタル上で猫を購入して育てるゲーム「クリプトキティーズ」、アート作品など様々なカテゴリーのバーチャルグッズを取引できるNFTマーケットプレイスだ。

金融サービス:暗号資産(仮想通貨)に対応した金融サービスを提供する企業。大半は分散型金融(DeFi、ディーファイ)事業に特化し、ブロックチェーン技術を活用している。例えば、米アルゴランド(Algorand)は開発者がブロックチェーン上にDeFi事業を構築するためのブロックチェーンのプロトコル(手順)だ。こうしたデジタル金融のエコシステム(生態系)はメタバースでの活動や取引を支える可能性がある。

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