DNAで微小カプセル 東北大など、患部に薬を送りやすく

東北大学と東京工業大学の研究チームは、複数の種類のDNAでできた小さなカプセルを作ることに成功した。体内で特定の細胞にのみ反応して内部の薬成分を放出するといった使い方ができる。がん治療などへの応用を見込む。
カプセルは大きさ数十マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルほどの球形で中空になっている。2種類の構造をもつDNAを組み合わせて膜状にし、カプセルの材料にした。特定の物質にだけ反応する分子をDNAにつければ、ある条件を満たしたときのみカプセルを開く仕組みにできる。例えばがん細胞にのみ薬の成分を届けられれば副作用の少ない治療法につながる。
DNAの部品となる分子の組み合わせを変えれば、カプセルの形を変更できる。同様に用いられるリン脂質に比べ設計しやすい。

これまでもDNAを用いたカプセルは開発されてきたが、中が十分に空いていないなどの課題があった。
東京工業大の瀧ノ上正浩准教授は「表面に複数の異なる分子をつければ、複雑な条件に応じてカプセルを開くことも可能だろう」と話す。体内のさまざまな状態を見分けて高度な反応を進め、治療などに生かす「分子ロボット」の実現にもつながるとみている。