スーパーキャパシタ電極開発 星和電機と岡山大
表示機器大手の星和電機と岡山大学の林靖彦教授らはスーパーキャパシタ(蓄電装置)用の電極を開発した。微細な穴が無数に開いた金属有機構造体(MOF)を使い、表面積を大きくした。この電極を組み込んだスーパーキャパシタの蓄電容量は活性炭を使う既存品の約2倍になった。林教授は「2030年をめどに実用化したい」と話す。

スーパーキャパシタは素早くフル充電ができ、充放電を繰り返しても劣化しないとされる。蓄えられる容量は少ないが瞬間的に電気を出力できる。電極の微細な穴にイオンが吸脱着を繰り返して充放電する。小さな穴が無数にある活性炭などが電極になる。
研究チームは亜鉛と炭素素材でできたMOFをセ氏1000度程度で焼き、電極素材を作った。900度以上になると亜鉛が気体となり抜け出る。星和電機の梅沢成之主任(岡山大大学院生)は「亜鉛がなくなるとMOFの構造は一度壊れ、新しく炭素素材だけでできた微細な穴の開いた構造になった」と話す。
活性炭の約1.7倍の表面積を持つ素材ができた。この電極素材で作ったスーパーキャパシタは蓄電容量が増え、充放電を10万回繰り返しても約77%の容量を保った。
