くら寿司がZ世代向け店舗 目指すはSNS映え世界一

回転すしチェーン大手のくら寿司は2021年12月9日、新店舗を東京・渋谷の原宿にオープンした。「くら寿司 原宿店」は、くら寿司が観光と食事を同時に体験できる場所として展開しているグローバル旗艦店の第3号店。Z世代に向けた仕掛けを数多く備えているのが特徴だ。
「くら寿司 原宿店」は、Z世代(1990年代後半以降に生まれた10代後半から25歳前後)に向けた新店舗。同店の出店に当たってくら寿司が目指したのは「世界一映える寿司屋(すしや)」だ。くら寿司ではZ世代をSNS(交流サイト)での情報発信に積極的な世代と捉えており、彼らに江戸の大衆文化である「握りずし」の魅力を、原宿から世界に向けて発信してもらう狙いがある。
原宿店の店舗面積は通常の店舗の2倍に当たる約700平方メートルで、席数はボックス41席、カウンター7席の計245席。道頓堀店(大阪市中央区)に次いで2店舗目となるのれん付きの半個室に加え、障子を閉めることで個室になるボックスシートも初めて採用した。原宿の街並みを見下ろせるテラス席、スタンド席もあり、客は自席で注文を済ませた後、それらの席に移動して景色と食事を楽しむことができる。
店舗デザインの監修に佐藤可士和氏

「世界一映える寿司屋」を目指す原宿店の内装を監修したのは、グローバル旗艦店の第1号店である浅草ROX店(東京・台東)、第2号店の道頓堀店を手掛けてきたクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏。浅草ROX店は江戸時代の日本の「祭り」をイメージしたジャパニーズモダンなデザインが評価され、ドイツデザイン評議会が主催する国際建築デザイン賞「ICONIC AWARDS(アイコニック・アワーズ)2021」のインテリア部門で最高位となる「Best of Best」を受賞している。
「日本の伝統文化×トウキョウ・ポップカルチャー」をデザインコンセプトに掲げる原宿店の特徴は、ちょうちんを並べた「カラフル提灯(ちょうちん)ウォール」や巨大な「浮世絵装飾」など、「SNS映え」を意識した仕掛けだ。
ピンクと黄色、2色2層の生地を焼ける自動クレープ焼き機を備えた「スイーツ屋台」を併設したのもSNS映えを意識してのこと。この屋台ではチョコレートナッツなどのクレープを原宿かいわいの相場より安い280円(税込み、以下同)から提供するほか、原宿店限定メニューとして、すしとクレープを融合させた「Sushiクレープ」2種(イベリコ豚カルビ、ツナサラダ、ともに380円)も販売する。

スタッフの制服は通常の法被ではなく、浅草ROX店と同様の黒をベースとしたTシャツにした。前面と背中のロゴや文字をピンク色にすることで「原宿らしさ」を演出しているとのことだ。
くら寿司の田中信副社長は「Z世代は新型コロナウイルス禍にあっても外食意欲が高く、コロナ禍の沈静化につれて、リベンジ消費の担い手になる可能性が大きい。その受け皿としてZ世代の聖地である原宿に出店した」と、新店舗の意義を語る。
すし一皿の価格は、他の都市型店の125円よりやや高い132円に設定。客単価は1500円前後を想定しているという。
(ライター 堀井塚高、写真提供 くら寿司)
[日経クロストレンド 2021年12月14日の記事を再構成]
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