東芝エネ、国際核融合炉向け巨大コイル全4基を完成

東芝子会社の東芝エネルギーシステムズは21日、フランスで進行中の多国籍プロジェクト「国際熱核融合実験炉」(ITER=イーター)向け中核部品全4基の製作が終わったと発表した。計18基組み込む予定の巨大な超電導コイルで、うち日本が分担する全8基の製作が完了したという。イーターは2025年の運転開始を目指している。
イーターは太陽と同じ「核融合反応」でエネルギーを生み出す実験炉で、次世代のエネルギー源として期待されている。東芝エネが完成させた超電導コイル「トロイダル磁場コイル」は、巨大な磁場を発生させて核融合の効率を高めるのに使う。大きさは高さ16.5メートル、幅9メートル、総重量約310トンに及ぶ。ダミーコイルの製作から始め、受注分の全4基の完成まで約10年を要したという。
イーターには日米欧など世界7極35カ国が参画している。トロイダル磁場コイルの製造は東芝エネのほか、三菱重工業も担当している。
東芝エネの「磯子エンジニアリングセンター」(横浜市磯子区)で21日、完成式典が開かれ、四柳端社長は「核融合エネルギーは『地上の太陽』とも呼ばれ、実現はある意味では人類の悲願だ。(温暖化ガス排出量を実質ゼロにする)カーボンニュートラル実現につながる大事な技術と認識している」と話した。