NEC、疑似量子コンピューターで生産計画 時間を9割減

NECは20日、製造子会社のNECプラットフォームズ(東京・千代田)の工場に、疑似量子コンピューターで生産計画を立案するシステムを本格導入すると発表した。条件が複雑で計画立案が難しい多品種少量製品の生産を効率化する。設備の稼働率を15%向上し、計画立案作業の時間は9割削減できるという。
福島県、宮城県、山梨県、静岡県の工場で3月に導入する。通信用のルーターや携帯電話の基地局に使う基板に、電子部品を取り付ける工程の生産計画をつくる。同工程は1つの生産ラインで1日に約30種類の製品を生産している。
既存のコンピューターを利用し、膨大な選択肢から最適な解を探す「組み合わせ最適化問題」に特化した疑似量子コンピューターを用いる。効率的な製造の順番や納期のほか、製造に必要な治具や工具が別のラインと重ならないなどの条件を考慮した計画を立案し、品種変更作業にかかる時間を半分にする。
条件を考慮して最適な計画を立案するのは難しく、熟練者が毎日1~2時間をかけて作成していた。新システムは条件を入力すれば数秒で計画をつくることができる。
NECプラットフォームズのタイ工場でも導入を進める。自社工場での使用実績を生かし、大規模な製造設備を持つ顧客にも外販する。2024年度には中小企業向けに汎用システムの提供開始を目指す。