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ブロックチェーン企業への投資額、過去最高に 21年

CBINSIGHTS
ブロックチェーン(分散型台帳)企業への投資が拡大している。けん引しているのは暗号資産(仮想通貨)に対する企業、消費者からの需要だ。オンライン交換事業者は消費者が暗号資産に参加できる環境を整備し、金融機関は暗号資産の関連サービスを広げる。CBインサイツがブロックチェーン企業への投資についてまとめた。

2021年はブロックチェーン技術にとって記録的な1年となっている。エクイティ投資(株式取得・引き受けを伴う投資)額もメディアでの言及回数も過去最高に達している。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

21年1~6月期のブロックチェーン企業によるベンチャーキャピタル(VC)やプライベートエクイティ(PE)ファンドからの資金調達額は既に70億ドルを超え、通年ベースでの過去最高を更新した。既存の金融機関もこの分野に資金を投じている。

消費者と企業の暗号資産への需要が、暗号資産の電子財布(ウォレット)、交換所、法人向けサービスを手掛ける企業による多額の調達案件を推進している。

21年1~6月期のブロックチェーン企業の調達額、過去最高に (17年~21年6月30日の公表ベースの調達件数と調達額、100万ドル)

今のペースが続けば、21年通年のブロックチェーン企業の調達額は146億ドルに達する見通しだ。これまでの最高だった18年の45億ドルを大きく上回る。

今回のリポートでは、今年の主な知見と見通し、投資急増のけん引役、調達額が最も多いカテゴリーについて取り上げる。

主な知見と見通し

ブロックチェーン投資の歴史的な年である21年に関する主な知見と見通しは以下の通りだ。

・暗号資産の取引、ウォレット、カストディ(資産管理)サービスへの参入を目指すフィンテック企業や既存の金融機関が増えている。消費者や企業による需要の高まりを示す指標(取引量や暗号資産に関する事業計画の発表など)を受けて、さらに多くの企業がこの分野に参入するだろう。

・開発者や企業向けインフラを手掛ける企業によるブロックチェーンのサービスがさらに増える。ブロックチェーンプロトコル、スマートコントラクト、金融機関向けAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)、決済、サプライチェーン(供給網)などがこれに含まれる。

・暗号資産や金融サービス以外のブロックチェーンのサービスへの投資が大きく増える。ゲームプラットフォーム、ブロックチェーンをベースに経済圏を構築する「トークンエコノミー」、メディアや娯楽向けのデータ管理・保管、デジタル収集品やNFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスなどが主な例だ。

市場のけん引役

消費者や企業の暗号資産への需要が、ブロックチェーン投資額が過去最高に達した主な要因となっている。両グループは暗号資産を支える目立った変化をもたらし始めており、ブロックチェーンはますます主流になっている。

ブロックチェーン投資の主なけん引役は次の通りだ。

消費者の暗号資産への需要

・バイナンス・マーケッツや米コインベース・グローバル、米ロビンフッド・マーケッツなどのオンライン交換業者は参入障壁を打破し、消費者が暗号資産の取引を始められるようにしている。ロビンフッドの新規株式公開(IPO)申請書類によると、21年1~3月期の売上高全体に占める暗号資産の取引の割合は17%に上昇した。取引額は前の期比4倍に増えた。

・暗号資産の取引量は今年に入り、過去最高を度々更新している。ネット証券取引ブームが続いていることがその理由だ。

・ビットコイン、イーサリアム、ドージコインなどの暗号資産の価格はこの1年半で軒並み上昇した。もっとも、最近では値動きが極端に激しくなっている。

企業の暗号資産への需要

・21年4~6月期の決算会見での「暗号」または「ビットコイン」の言及回数は急増し、四半期として初めて1000回を突破した。

・バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなど米大手資産管理銀行は最近、暗号資産の管理サービスに乗り出す計画を発表した。

・米クレジットカード大手のマスターカードやビザ、米オンライン決済大手のペイパル・ホールディングスは、暗号資産での支払いを受け付ける計画を発表した。

暗号資産、企業幹部から注目 (16年4~6月期から21年4~6月期の決算会見での「暗号」または「ビットコイン」の言及回数)

どこに資金が投じられているか

20年7月以降の投資額の半分近くが「暗号資産の投資、交換、ウォレットサービス」に向けられた。「暗号資産やブロックチェーンのインフラ、開発、分析」は26%を占めた。

・暗号資産の投資、交換、ウォレットサービス:この分野で最も投資家の関心を集めているのは、暗号資産に特化した企業だ。例えば、機関投資家向けの暗号資産交換所や、資本市場向けのブロックチェーンの清算を手掛ける米パクソス(Paxos)は20年12月以降、2回のラウンドで4億4200万ドルを調達した。企業や個人向けにカストディやウォレットサービスを提供する英ブロックチェーン・ドット・コム(Blockchain.com)と米ブロックファイ(BlockFi)によるこの1年間の調達額は、それぞれ4億ドルを超えた。

・インフラ、開発、分析:過去1年のブロックチェーン関連の調達案件で1回の調達額が最も多かったのは、米サークル(Circle)が21年5月に実施したシリーズFの4億4000万ドルだった。同社は米ドルに連動したステーブルコイン「USDコイン(USDC)」を使う企業向けに、ネットバンキングシステムや決済インフラを提供している。ブロック・ワン(Block.one)は21年5月のシリーズAで3億ドルを調達した。同社は安全なデータ移行を可能にし、高性能の分散型アプリケーション(DAPP)に対応したオープンソースのブロックチェーンプロトコル「EOSIO」を提供している。

・非暗号資産企業:ブロックチェーン分野への投資の残りの29%は暗号資産以外のカテゴリーに向けられている。ゲームやメディア(例:米フォルテラブズ)、デジタル収集品やNFT(カナダのダッパーラブズ)、銀行、融資、保険など既存の金融サービス(米フィギュア・テクノロジーズ)などがある。

ブロックチェーン投資、暗号資産企業に集中 (20年7月~21年6月のブロックチェーンのカテゴリー別の資金調達割合)

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