富士フイルム、小型の乳がん検診装置 外装をピンク色に

富士フイルムは20日、乳がん検診に使うマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)の新型モデルを発売すると発表した。装置の色を初めてピンク色にしたほか、従来機と比べて装置の高さを3割抑えるなど小型化し、受診時のストレスを軽減するように工夫した。
子会社の富士フイルムメディカル(東京・港)を通じて「AMULET ELITE(アミュレット・エリート)」を11月1日に発売する。同社が展開しているマンモグラフィー「AMULET」シリーズの新型モデル。主にクリニックや検診バス向けのコンパクトモデルとして売り込む。価格は8000万円(税抜き)を予定する。
マンモグラフィーを含めて診断機器は白色が主流だが、アミュレット・エリートは外装を淡いピンク色にすることで親しみやすい印象にした。また高電圧装置を撮影スタンドと一体化するなど設計を見直し、従来機と比べて設置面積を約2割、高さを3割抑えて圧迫感を低減した。スペースが限られるクリニックや検診バスでも設置しやすいようにした。
受診時の負担軽減にもこだわった。マンモグラフィーでの乳がん検診は「圧迫板」とよばれる板で乳房を押しつぶしながら撮影するため、痛みを伴うことが課題だった。今回の新モデルでは従来はオプションだった圧迫を自動制御する機能を搭載しており、痛みの軽減が期待できるという。
富士フイルムは2021年3月末に日立製作所から買収した画像診断機器事業を引き継いだ子会社の富士フイルムヘルスケアとの間で、富士フイルムの持つ人工知能(AI)技術をかけ合わせるなど相乗効果を追求している。
今後は乳がん検診装置に加えて、産科や婦人科、骨密度検査なども含めた女性向けヘルスケア領域を広げていく考えで、26年度に同領域の売上高を21年度の2倍となる500億円規模に高めることを目指す。
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