キリンHD、ベア1万円 7%賃上げ
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キリンホールディングス(HD)は20日、2023年の春季労使交渉で基本給を底上げするベースアップ(ベア)について、月1万円とすると発表した。賃金改定分とベアを合わせた賃上げ率は組合員平均で7%程度になる。
対象はキリンHDの約1700人。ベアは07年のキリンHD設立以来初めて。グループでは16年にキリンビールが月3000円のベアをしたが、金額は前回を上回った。4月に入社する新入社員の初任給を1万円引き上げ、大卒で24万2000円とすることも決めた。
キリンHDの磯崎功典社長は「持続的成長に向けた投資で、さらなる飛躍が実現すれば広く人材投資を充実させていく」とコメントした。
酒類業界ではサントリーホールディングスが月額1万円のベアを含む7%の賃上げを決めたほか、サッポロビールも月額9000円のベアを含む5.7%の賃上げを表明している。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。