8月の派遣時給、0.3%下落 介護系など低時給の求人増加

人材サービス大手のエン・ジャパンが21日発表した8月の派遣社員の募集時平均時給は、三大都市圏(関東・東海・関西)で前年同月比5円(0.3%)安い1616円だった。前年同月を下回るのは2020年10月以来。
事務系などで10月以降の募集が増えた一方、相対的に時給の低い介護系と軽作業系の求人数が伸び平均時給が下がった。
同社の求人情報サイト「エン派遣」の情報をまとめた。平均時給は7カ月連続で全7職種で前年同月を上回った。
職種別では「オフィスワーク系」が前年同月比26円(1.7%)高の1596円だった。下半期がスタートする10月の就業に向け、派遣スタッフを採用する動きが広がった。
8月の事務職系の求人件数は前年同月比36%増えた。人手不足を背景に正社員雇用が難しく、派遣などで人員の確保を進めている。
「医療・介護系」は30円(2.2%)高い1386円だった。新型コロナウイルスの感染対策が進み、介護施設の利用が再開されている。「介護関連」の求人件数は34%増えた。新規開業も増え既存施設の人員の補充が目立った。
エン派遣の中島純・事業責任者は「足元で水際対策の緩和も進んでおり、今後は旅行ツアーの窓口や空港の免税店などで派遣スタッフのニーズが拡大してくる」と指摘する。
同業大手ディップが同日まとめた8月の派遣社員の募集時平均時給(三大都市圏)は前年同月比54円(3.6%)高い1545円だった。「医療・介護・研究・教育系」は82円(5.6%)上昇と高い伸びを見せた。