三菱重工、米ボーイングと協業 航空機の脱炭素へ

【ファンボロー(英南部)=佐竹実】三菱重工業は19日、航空機から排出する二酸化炭素(CO2)の削減に向け、米ボーイングと協業すると発表した。持続可能な航空燃料(SAF)や水素燃料などに関連した脱炭素技術の開発で覚書を結んだ。三菱重工はこれまでボーイング機に対しては主翼などの部品を供給してきたが、特定分野の技術開発での協業は初めてという。
英国で開かれている世界最大級の航空展示会「ファンボロー国際航空ショー」で同日に発表した。ボーイングは航空の脱炭素に向けて、英ロールス・ロイスや米航空宇宙局(NASA)などと航空宇宙分野で協業を広げている。水素燃焼などの技術に強みがある三菱重工と組み、次世代のエンジン開発などに役立てるとみられる。
三菱重工の加口仁常務執行役員は日本経済新聞の取材に対し、「大型機(の燃料として)は中長期にはSAFが一番有望だ。ボーイングと実用化する努力をしていく。また水素も含め、何が1番いい組み合わせなのかを考えていく」と述べた。
航空機の脱炭素に向けた協業では、欧州エアバスも川崎重工業と4月に水素航空機の実用化に向けて、水素の調達やインフラ整備での連携を表明している。

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