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中外製薬の1~6月、純利益73%増 血友病薬伸びる

中外製薬が21日発表した2022年1~6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比73%増の2041億円だった。上期として過去最高を更新した。主力の血友病治療薬や、新型コロナウイルス感染症の重症肺炎患者に使う関節リウマチ薬の海外輸出が好調だった。

売上高にあたる売上収益は53%増の5961億円。自社開発した血友病薬「ヘムライブラ」は、親会社のスイス・ロシュへの輸出を中心に海外売上高が2.7倍の910億円となった。競合品より投与間隔が長く治療負担の軽減につながるとして臨床現場で置き換えが進んでいるとみられる。

新型コロナウイルス治療薬も伸びた。重症肺炎患者に使う関節リウマチ薬「アクテムラ」は海外売上高が67%増の634億円となった。

軽症から中等症の人に使う抗体カクテル療法「ロナプリーブ」の政府購入分として、1~3月期に売上高608億円を計上した。3月に米バイオ製薬と抗体技術に関する特許侵害の訴訟で和解し、和解金約900億円を計上したことも収益に寄与した。

22年12月期通期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比15%増の1兆1500億円、コア純利益は微増の3125億円を見込む。ロナプリーブは3月に政府と22年度の供給契約を結び、売上高は2.6倍の1990億円を計画する。ヘムライブラの海外売上高も63%増の1860億円に伸びる見通しだ。

下期は円安が減益要因となる。輸出入はロシュとの取引が主なため、スイスフラン建てが多い。前期に今期取引の8割を平均1スイスフラン=122円で為替予約している。ただロナプリーブはヘッジの対象外のため、対スイスフランでの円安でロシュからの仕入れ採算が悪化する。「下期に営業利益ベースで100億円いかない程度の減益要因になる」(板垣利明・取締役最高財務責任者=CFO)

23年12月期以降も不透明感が漂う。ロナプリーブは変異型「オミクロン型」に対し有効性が下がる恐れがあるとして、厚生労働省は「他の治療薬が使えない場合に投与を検討する」よう限定的な使用を呼びかけている。中外薬によると、足元で流行している派生型「BA.5」では有効性が200~300倍弱まるという。他社の経口薬も登場しており、来期は需要が伸び悩む見通しだ。

板垣CFOは同日の説明会で「ロナプリーブの売上高は来期下がる見通しである一方、国内売上高の成長やヘムライブラの輸出に伴うロイヤルティー収入などでカバーできる」と話した。

時価総額、医薬首位から3位に後退

中外薬の株価はさえない。21日終値は3768円と21年1月の上場来高値(6435円)から4割安に沈む。時価総額は医薬品セクターで首位だったが、5月に第一三共武田薬品工業に抜かれ、21日時点で6兆3266億円と3番手に後退した。

第一三共はがん治療薬「エンハーツ」の適応拡大に向けた開発が順調で、大型化が期待されている。武田は潰瘍性大腸炎・クローン病の治療薬「エンティビオ」の競争環境が和らぎ、ピーク時の年間売上高予想を引き上げた。高い配当利回りも好感されている。

中外薬についてゴールドマン・サックス証券の植田晃然氏は「新型コロナ治療薬の需要減といった短期の業績動向が不安視されている。打ち返す株価材料も直近で見込めない」と指摘する。株価浮上には、開発中の新薬の収益貢献など中長期の利益成長の道筋が示される必要があると話す。

会社側は次の成長の柱として、次世代薬「中分子医薬品」の抗がん剤「LUNA18」や血友病薬「ヘムライブラ」の後継品「NXT007」の臨床試験(治験)を進めるが、まだ初期段階で利益貢献までの道のりは長い。当面は新薬候補の開発の進捗のほかヘムライブラなど自社開発品の売り上げ拡大が焦点になる。

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