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日本原電の売上高、原発10年不稼働でピーク時から半減

日本原子力発電の東海第2原発(右)。左は廃炉作業中の東海原発=共同

原発専業の日本原子力発電が20日発表した2021年3月期の連結決算は、売上高が3%減の963億円だった。ピークの1989年3月期に比べ、半分以下に落ち込んだ。今回の決算は東日本大震災から10年という節目に当たる。同社は震災を機に保有する全ての原子力発電所を停止しており、設備維持費として大手電力から受け取る「基本料金」に依存した経営が続く。

「過去のピークに比べて、売上高が半減している。こういう状況をなるべく早く脱却したい」。決算発表会見に臨んだ日本原電の村松衛社長は、険しい表情を浮かべた。連結純利益は前の期比5%増の27億円を確保したが、これは大手電力から受け取る基本料金によるところが大きい。

記者会見する日本原子力発電の村松衛社長

大株主でもある東京、東北、関西、北陸、中部の各電力とは電力受給契約を結んでおり、基本料金として前期は933億円を得た。震災後10年間での総額は1兆円を超える。基本料金は発電量にかかわりなく受け取ることができるが、今後も発電ゼロが続けば、日本原電の存在意義そのものが揺らぎかねない。

原発再稼働の計画には不透明感が漂う。保有する原発4基のうち2基で廃炉作業が進む。残り2基のうち、敦賀原発2号機(福井県敦賀市)は直下に活断層があると指摘されており、20年2月には地質データの不適切な書き換えも発覚。再稼働はしばらく難しい情勢だ。

頼みの綱の東海第2原発(茨城県東海村)は18年9月、原子力規制委員会の安全審査に合格した。現在、防潮堤などの安全対策工事を進めており、22年12月までに終える予定だ。だが周辺住民らが運転差し止めを求めた訴訟を巡って、水戸地方裁判所が今年3月、運転を認めない判決を下した。原電関係者は「予想外の判決だった」と振り返る。

この八方ふさがりの現状を打開しようとする動きは見えない。3月に公表した経営計画では「原子力を通じた水素社会への貢献」などを掲げたものの、具現化はこれから。16年から協力関係にある米廃炉大手エナジーソリューションズとの共同事業も進んでいない。

政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、30年度の新たな電源構成でも2割程度を維持する方向で調整している。19年度の原発比率は6%にとどまっており、目標達成には、いまある原発のほぼ全てを再稼働させる必要がある。村松社長は会見で「脱炭素の流れで新しいビジネスチャンスが生まれる。小型原子炉の開発などにも取り組みたい」と話した。

(清水涼平)

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