日本原電社長「燃料高で原子力発電が重要に」

東京電力ホールディングスなどが出資する日本原子力発電の村松衛社長は19日に記者会見し、「化石燃料の高騰や供給制約が続くなかで原子力発電が果たす役割は大きい」と強調した。日本原電は保有する原発の稼働停止が続き、顧客の大手電力会社から発電量にかかわらず設備の維持費として受け取る収入に頼る。「(電力供給に)一刻も早く貢献できるようにしたい」と話した。
同日発表した2022年3月期の連結純利益は前の期比11%減の24億円だった。電力の供給契約を結ぶ東電などから得る基本料金が減少した。売上高は3%減の929億円だった。
日本原電は東海第2発電所(茨城県東海村)と敦賀発電所(福井県敦賀市)を抱えるものの、いずれも再稼働のメドは立っていない。東海第2は防潮堤など安全対策の工事を進めており、24年に完了する予定だ。敦賀は原子力規制委員会による審査再開に向け資料を準備中だ。
原発運営以外の収益源も模索している。村松社長は「自社の発電所で廃炉のノウハウをためており、新しいビジネスを生み出せる」と話した。次世代技術については「原子力による水素製造や小型モジュール炉(SMR)など革新炉は大きなゲームチェンジを起こす。調査を進めている」と述べた。