炭素価格とは 排出量取引市場、欧州で先行
きょうのことば
▼炭素価格 企業などが排出する二酸化炭素(CO2)に付ける値段のこと。企業は排出量に応じて税金などのコストを負担する必要があるため、排出削減を促す効果がある。政府が税率を設定して企業や家庭に税金を課す「炭素税」や、CO2を多く出す企業が減らした企業からお金を払って排出枠を買い取る「排出量取引」が代表例だ。

世界銀行によると、炭素に価格を付ける「カーボンプライシング」の導入を決めたのは64カ国・地域。なかでも先行するのが欧州だ。欧州全体で排出量を取引する市場があり、各国政府が炭素税を導入している。中国も今月16日に全国統一の排出量取引を始め、世界最大の取引市場になる見込み。日本は地球温暖化対策税などを導入しているものの、排出量取引は東京都と埼玉県がそれぞれ独自の制度を運営するにとどまる。

みずほリサーチ&テクノロジーズによると、炭素税や排出量取引、ガソリンなどに課税するエネルギー税を合計した「実効炭素価格」は主要国でスイスが最も高く、1トンあたり123ユーロ(約1万6000円)。日本(30ユーロ)や米国(14ユーロ)、中国(6ユーロ)は低い。欧州連合は環境対策が不十分な国・地域からの輸入品に税を課す「国境炭素税」の導入を検討しており、世界で炭素価格が欧州水準へと上昇していく可能性がある。

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