KMバイオ、コロナワクチン最終治験 子ども向けも
明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)は20日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて最終段階の臨床試験(治験)を始めると発表した。医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画を提出した。最終治験は4月下旬に国内とフィリピンで始める。

対象は18~40歳の1500人。28日間隔で2回、13週後に3回目を投与する。アストラゼネカ製のワクチンを打った人と、ウイルスの感染を防ぐ中和抗体の量や副作用が出る率を比べる。有効性がありそうであれば、終了前に承認を得られる緊急承認制度の活用を想定する。9月にも承認申請する予定で、2022年度内の実用化を目指す。
18歳未満の子ども向けの治験も始める。生後6カ月から18歳未満の600人を対象に、成人の半量~全量を2回投与する。3回目を投与するかは検討する。治験データがそろえば年内にも承認申請を目指す。国内では5歳未満を対象としたコロナワクチンは実用化されていない。
同日開いた記者会見で、KMバイオロジクスの永里敏秋社長は「1日でも早く子どもに打てるワクチンとして市場に出していきたい」と話した。
菊池研究所(熊本県菊池市)の製造棟を改装し、年間1500万~2000万回分のワクチンを生産できる設備を整えた。承認を見据えて、5月にもワクチンの生産を始めるという。
同社が開発するワクチンは「不活化ワクチン」と呼ばれる。ウイルスの毒性をなくして免疫を作るのに必要な成分だけで製剤するため、副作用リスクが低いとされる。同社のインフルエンザワクチンにも使われる技術を活かし、20年5月から開発を始めた。
国内企業では、武田薬品工業が米ノババックスから技術提供を受けて国内生産するワクチンの承認を得た。塩野義製薬や第一三共も治験を進めている。
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