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海外好調のセブン&アイ 国内コンビニに忍び寄る不安

日経ビジネス電子版

2022年2月期の連結業績予想を上方修正したセブン&アイ・ホールディングス。米スピードウェイを買収した海外コンビニ事業が業績をけん引する一方で、国内コンビニ事業は苦戦している。消費者の「コンビニ離れ」を指摘する声も出てきた。

「セブン&アイは『商品が新型コロナウイルス禍に対応しきれていなかった』と説明するが、消費者が食品を買いだめするためにドラッグストアやスーパーの利用を増やしているからではないか」

こう指摘するのは岡三証券投資調査部の金森淳一アナリスト。コロナ禍で可処分所得が増えないなか、値ごろ感を求める消費者がコンビニでの買い物を控えるようになった影響が、全店売り上げの7割近くを食品が占めるセブン&アイの国内コンビニ事業に表れているとみる。

スピードウェイ買収が寄与

セブン&アイは13日、21年9~11月期(22年2月期第3四半期)の決算で通期業績予想を上方修正した。営業収益を8兆7220億円と前回予想から4130億円引き上げた。本業のもうけを示す営業利益は前回予想の200億円増となる4000億円を見込む。14日の株式市場はセブン&アイの上方修正を好感。同社の株価は一時、前日比8%高の5330円と6カ月半ぶりの高値を付けた。

上方修正のけん引役は海外コンビニ事業だ。同事業の営業収益は前回予想から4390億円増の5兆1600億円、営業利益は312億円増の1600億円となる見通し。買収したスピードウェイの業績が好調で、海外コンビニ事業の第3四半期累計の営業利益を526億円押し上げた。さらに、既存店の客数回復と、販売するガソリンの価格上昇が寄与した。

好調な海外コンビニ事業と対照的に、屋台骨の国内コンビニ事業の通期見通しは下方修正となった。営業収益は前回予想比140億円減の8770億円、営業利益は同165億円減の2291億円とした。

コロナ禍で消費者の購入形態に変化

「住宅型・郊外型立地の苦戦」。国内コンビニ事業を担うセブン‐イレブン・ジャパンはこうした危機感をあらわにする。テレワークの広がりでオフィス街の昼間人口が減少し、都市型店舗の売り上げが減っている。代わりに住宅街やロードサイドの店舗で巣ごもり需要を取り込もうとしていたが、その狙いが外れた。セブン&アイは第3四半期決算の説明資料で、巣ごもり需要に偏重した商品構成が消費者の需要を適切に捉えることができなかったと振り返っている。

既存店の21年3~11月の実績でみると、売り上げは前年同期比0.7%増、客数は1.0%減、客単価は1.7%増と前年をやや上回る水準だった。ところが、粗利率が低下した。既存店の粗利率は31.7%と前期比0.3ポイント減だった。

「加工食品」や「ファストフード」など粗利率の高い商品を伸ばす想定だったが、食肉価格が世界的に高騰する「ミートショック」で鶏肉の供給が不足。カウンターなどで販売する鶏肉商品を思うように伸ばせなかった。また、たばこ増税前の駆け込み需要で相対的に粗利率の低い「非食品」が伸長したことも利益を押し下げる一因となったとセブン&アイは分析する。

それだけでなく、周辺に立地する様々な業態の小売店との競争で事業環境が厳しくなっているとみるのが、冒頭で紹介した岡三証券投資調査部の金森アナリストだ。コロナ禍では自宅で過ごす時間が長くなり、食品を大量に買い込むケースが増える。そのとき消費者が足を向けがちなのは、割引率の高いスーパーやドラッグストアだ。

1回の食事を用意しやすいコンビニから、複数回の食事を準備するのに適した別業態へと消費者が徐々に流れているわけだ。そうした変化に対応できず、大きなヒット商品も生み出せなかったことが国内コンビニ事業の下方修正につながったとみられる。

セブン&アイは「セブン‐イレブンのアプリに登録する既存ユーザーへの販促は積極的に実施したが、店頭での販促など新規顧客向けの取り組みが不足していた」(広報部)と反省する。セブン‐イレブン・ジャパンは目下、「セブンプレミアム」など看板商品のテコ入れを急いでいる。コロナ禍の消費傾向においても競合との価格競争に巻き込まれず、消費者に向けてコンビニの"コンビニエンス(利便性)"を証明できるか。ニューノーマル時代のコンビニをどう再構築するかという課題がセブン&アイに突き付けられている。

(日経ビジネス 江村英哲)

[日経ビジネス電子版 2022年1月17日の記事を再構成]

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