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スクー、社会人の学び直し手助け 授業を365日生放送

日経ビジネス電子版

「今日は投資の基本を学びます」。講師がオンライン画面上で話すと、受講者が「積み立てですよね!」とチャットに書き込む。授業が進むにつれ、ライブでのやり取りが弾む──。Schoo(スクー、東京・渋谷)の学習動画サービスの一コマだ。

同社は毎日午後7時から2~3本を生放送している。長さは1本当たり1時間程度だ。生放送分は無料で、月額980円の会員になれば録画分も見られる。講師は現役ビジネスパーソンの他、コンサルタントら外部専門家が中心だ。

インターネット上にはユーチューブやインスタグラムで見られる学習コンテンツが数多くある。ただ、自分に合った良質なコンテンツを見つけ出すのは簡単ではない。専門サイトのスクーなら、テーマごとに独自制作の動画を見つけやすい。

意識しているのは間口の広さだ。録画分は個人向けであれば7400本、企業向けは6500本ある。どちらも20分野に分かれ、仕事に関係の深い分野としてはエクセルやパワーポイントの使い方、DX(デジタルトランスフォーメーション)、マネジメントノウハウなどがある。

例えばマーケティング分野の授業「ブランド戦略分析超入門」では、企業や商品のブランド・マーケティング戦略がどんな要素から成り立っているかを分析する手法を紹介している。講師が用意したワークシートに沿って、自分なりに分析できる。

それぞれの専門分野の入門編のような動画を増やし、学びのとっかかりとしてイメージをざっくりつかんでもらい、興味に合う専門的な学びへと橋渡しする。

導入企業、1年で800社増加

森健志郎社長CEO(最高経営責任者)は「社会人が学ぶニーズは拡大し続ける」と話す。足元では、企業向けの「Schoo for Business」の契約が増えている。研修教材として提供し、導入企業数は直近で2400社超と1年で800社以上増えた。

社会人の学びをビジネスにする上で、生放送という点がプラスに働いている。導入企業から「生放送で全国のビジネスパーソンと切磋琢磨(せっさたくま)できる」(サントリーホールディングス)などの声が上がっているという。

ライブ感を出す工夫も凝らす。冒頭で見たように生放送中にチャットに投稿し、講師とやり取りできる。社長は「1人で視聴するより面白く、集中力も続く」と話す。「着席しました!」「なるほど!」といった定型文も簡単に投稿できる。授業を受ける意欲や充実感を引き出す。投稿が荒れないよう、実名での登録が条件だ。

こうした工夫を生み出す源は、森社長の起業動機に遡る。大学卒業後に入社した大手企業で研修のため動画を見るよう指示されたときのこと。「あまりにもつまらない。自分で作ってみよう」と思い立った。2011年の創業当時、ユーチューブこそ普及していたが、学習コンテンツの生放送配信はほとんど見当たらなかった。

どんなテーマで、誰を講師にして、どういう構成の動画にすれば学び続けられるのか──。そう考える中で、コンテンツの充実の他にもチャット機能を使ったり、「〇日の△時にこの授業を一緒に受けましょう」とあらかじめ時間をセットしてネット上の部屋に集まって視聴する「集合学習機能」を設けたりした。

大学に学習システム提供

個人向け、企業向けに続いて3本目の柱として力を入れているのが、教育機関向けのDX支援サービスだ。これまでの動画制作で培ったノウハウを活用し、大学や専門学校のオンライン学習体制の構築を後押しする。

新型コロナウイルス禍で授業のオンライン化が進んだものの、現状では教授らによって使うソフトウエアやシステムが異なるなど、効率的な運用ができていないケースが多いとスクーはみている。同社のプラットフォームは、動画の配信・出欠の確認・チャットなどを一元管理できるのが特徴。クイズの作成もできる。

学生ごとの視聴時間やチャットでの反応をデータとして収集し、反応が良い部分や悪い部分をあぶり出せれば、授業改善の手掛かりにもできる。

既に近畿大学や福岡大学、立命館大学などとアドバイザリー契約を結んだ。22年春には、スクーのシステムを使ったオンライン授業の提供が一部で本格的に始まる見通しだ。

国内の社会人向けeラーニング市場は1100億円の規模にとどまるが、大学など高等教育機関向けは潜在的に数兆円に上るとの試算もある。企業の事業環境の変化は激しく、学び直しの需要が一層高まる中で、同社はオンライン教育サービスのプラットフォーマーを目指す。

(日経ビジネス 三田敬大)

[日経ビジネス電子版2022年2月11日の記事を再構成]

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