AIがトレーナー、カメラ通じ体の動きを解析
先読みウェブワールド(野呂エイシロウ氏)
筆者はダイエット中である。食事制限、ダイエットアプリ、週2回のジム通いでなんとか13キロ減らした。そんな中、人工知能(AI)がトレーナーの女性専用ジムがあるということで、運営するFURDI(東京・千代田)にうかがってみた。
人体型ロボットを想像していたが大間違い。高さ1メートルほどの大きなタブレットのようなものがあった。浅野忍土(しのただ)社長が、最初に見本を披露してくれた。

このタブレットのような機器の画面の中で動く女性のトレーナーの見本に合わせて運動をするのだが、機器に内蔵したカメラがちゃんと正確な動きができるかどうかをチェックし、アドバイスをしてくる。
「人によってトレーニングメニューは違います。最初は人間のトレーナーがカウンセリングをします」(浅野社長)。AIは色々なところに使われていて、例えばカメラを通じて、人間のカラダを25個の関節に分けて認識し、データベースと比較して解析するといった場面などに使われているという。
浅野社長によると人間のトレーナーは、見ているようで実は正確に見られないこともあるという。一方、AIのカメラは正解に関節の動きや角度、回数などを数えることができる。
筆者も実際に体験してみた。画面の上部に、モデルさんの見本が映り、下部に実際の筆者の動きが出ている。スピード、動きの範囲、動きの正確性などの観点で、筆者の動きがデータベースと比較しどのように同じか、違うかをAIが解析しているのだという。
体験してみると結構難しい。ただ、相手が人間だと気を使うのだが、画面のAI相手だと逆にちゃんとできそうな気がしてきた。筆者の「辛っ」という、泣き言も無視である。家にも一台欲しいところだ。
現在この女性専用のジム「ファディー」は、全国に38店舗で年内に60店舗以上になる計画だという。今回は特別に男の筆者も体験させていただいたが、やはり女性専用の方が女性に安心して通ってもらえるのだという。
浅野社長の経歴は面白く、金融機関、そして飲食FCの分野にいた方である。自分が好きな分野であったのと、人々の美と健康への関心は高いと見込み、このビジネスを始めたという。

新型コロナの影響については、「フィットネスサービスの提供形態が人間が少ない非接触型なので、評価は入会率が高い状態。消毒などにも気を使っている」と浅野氏は語る。
これまで筆者は、データフィットネスという分野を知らなかった。フィットネス業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が、こんな形で進むとは思っても見なかった。
「ファディーを通じて、フィットネス業界をDXするとともに、この業界の抱える課題を解決したいと思っている。働く方々の待遇改善を進め、利用者に対しては明確な結果を提供する。この2つの方向性をDXを通じて、実現したい」と浅野氏は意気込む。
この業界に限らず、AIができることはどんどんAIがやるべきだと筆者は常に思う。フィットネス分野のAI化とDX化は更に進むだろうと思う。
[日経MJ2022年2月21日付]