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コミュニケーション・ロボ、開発熱衰えず

先読みウェブワールド(瀧口範子氏)

NIKKEI MJ

コミュニケーション・ロボットの開発が根強く続いてることに驚いている。

コミュニケーション・ロボットとは人工知能(AI)を搭載してユーザーと会話ができるもので、顔があり、場合によってはアームが付いていて動き回る。何となくではあってもヒューマノイド(ヒト型)的になっていて、漫画などで親しまれてきたロボットを踏襲した姿をしている。

相手とやり取りする社会性を持つのでソーシャル・ロボットとも呼ばれる。ゆくゆくは我々の日常生活のパートナーになるようなホーム・ロボットの前身だ。だが、その開発は何度も失敗してきた。ここ10年ほどを振り返ると、欧米や日本でいろいろなロボットが登場しては消えていった。

米国では著名な学者が開発し、大きな資金もついていたロボット開発が頓挫した。日本では一世を風靡した「ペッパー」の製造が停止されていると聞く。

コミュニケーション・ロボットがうまくいかない理由はたくさんある。

まず、ヒューマノイド・ロボットの開発は非常に難しい。顔の表情、手の動き、動き回るスムーズさ。それらがユーザーとの会話とどうマッチするか。そうした条件を満足させるのは現在の技術では困難とされる。言うまでもないが、消費者が買えるような価格で提供することは無理だ。

スマホやタブレットで使えるようになった会話型AIの発展もある。わざわざロボットとして作らなくても、必要なコミュニケーションが十分にできると考える人は多い。ロボットにアームがついていても、モノをつかんだりすることができないのならば無用だとも思われているようだ。

結局は価格と機能の釣り合いがうまくいかず、発表された数々のロボットはそれなりに期待されたものの、実際に購入する消費者がおらず失敗してきた。

しかし、それでもこの手のロボットはまた新しく開発されている。最近では、アマゾンが実験的に販売する「アストロ」がある。家の中を動き回るセキュリティー・ロボットと位置付けられているが、会話AIのアレクサを搭載して物理的にはロボット相手のやり取りを可能にしている。

同社がこの先、ヒト型のコミュニケーション・ロボットを標榜しようとしているのは間違いない。

コミュニケーション・ロボットの中でも比較的長く生き延びてきたのは、一定の目的に特化した製品であることが特徴だ。例えば、慢性病患者のために体調を聞き出し薬の服用を促すロボットや、自閉症児に社会性を身につけられるようコーチングしたりするロボットなどが限られたユーザーの間で使われている。

これらロボットの開発者によると、スマホやタブレットでは不可能な存在感をロボットが持つという。首をかしげたり、こちらを向いたりするロボットの動きが親密さを醸し出すことで、薬の服用を続けようという気になるそうだ。

コミュニケーション・ロボットの開発は古くて長い。もう要らないじゃないかと切り捨てたくなるかもしれないが、人がずっと求めてきた存在なのだと今さらながらに感じる。ロボット開発者には、しぶとく研究を続けてほしいと思う。

[日経MJ2022年5月23日付]

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